防衛省・自衛隊では、その能力に応じ、日本のみならず世界において女性自衛官や事務官などが活躍しています。
自衛隊に入隊した28年前の私は「海上自衛官です。」と胸を張って言えなかったことをはっきりと覚えています。気付けば、自分の選んだ道に誇りを持つようになりました。それは、職務への自信、自己実現できる喜び、この道を選んだからこそ出会った人への感謝、この道を歩んだからこそ見えてきた広大な世界を実感するようになったからだと思います。艦艇での勤務、予算・経理・契約、補給などの職務を経て、現在の役職に就いていますが、思考力、実行力、創造力を求められる躍動的な配置です。私にとっての一番は常に現にいる配置であり、リーダーとしてチームとともに目標にチャレンジし続けることができたことに感謝しています。そういった意味で自衛隊は「自己への挑戦」をさせてくれた組織です。その恩返しとして、男性も女性も等しく「自己への挑戦」の機会を得ることができる組織を創造していくという新たな責任と役割を果たしていきたいと強く思います。
約10年前に2歳の息子を家族に預け、イラクに派遣されて以降、C-130H輸送機の機長として様々な任務に従事してきました。周りの方々の温かい支援と理解のもと、男女の差を感じることなく様々な経験をさせていただき、感謝しています。機長の職務は責任が重く、クルーを的確に指揮しなければならない難しさがありますが、後輩の育成や任務の達成にやりがいを強く感じるものでした。その時の経験は、今の勤務でも活かされています。現在は、第1輸送航空隊の運用班長としてC-130H輸送機などの任務の計画などを担当し、育ててもらった部隊や先輩、後輩に恩返しをするべく奮闘しています。
子供の成長に伴い起きる問題は様々で、仕事と家庭の両立は悩みの連続ですが、いろいろな施策により子育て支援は益々充実し、配偶者の協力と本人のやる気次第でどんどん活躍できる環境が整ってきています。
今後、益々活躍する女性が増え、あらゆる分野において女性が特別な存在でなくなる日が来ることを願っています。
防衛大学校を卒業した平成10年当時、戦闘職種の女性幹部がまだ少ない中、私は野戦砲や地対艦ミサイルといった野戦部隊の小隊長や中隊長として勤務しました。また、陸自富士学校の教官として、自衛隊の精強化を担う若手幹部の育成にも携わりました。顧みると、ただ自然のままに、様々な職務を遂行することで成長してきた結果が、今の自分であると感じています。
昨年度は一年間、早稲田大学大学院政治学研究科公共経営専攻の学生として、様々な経歴を有する社会人学生や留学生たちと共に、切磋琢磨しながら学ぶことにより、視野を拡大することができ、更に成長することができました。また、私を通じて、自衛隊に対する理解を深めてもらえるきっかけとなったのではないかと感じています。
この20年、「女性では自衛官としての勤務は大変でしょう」と、言われることもありましたが、正直そう感じたことはありませんでした。自衛隊は、男女問わず、学びながら確実に成長し続けることができる世界だと思っています。
平成26年に入省し、本省勤務と4ヶ月にわたる南スーダン赴任を経て、現在は横浜の地方防衛局において、主に米海軍の空母艦載機部隊の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐を担当しています。
防衛省の仕事を一言で言うと、「毎日が非日常で刺激的」。もちろん、メールの送受信にも苦労する南スーダンで、現地政府と国連を相手に700人を超える自衛官や物資の出入国に伴う許可に奔走した際はプレッシャーを感じましたし、今でも、国側担当者として、副知事や在日米海軍司令官らが名を連ねる会議に出席する時は緊張しっぱなしです。しかし、目の前の業務が国の安全に直結していることを思うと、冷静に現実を受け止める覚悟と、一歩を踏み出す勇気が湧いてきます。
「国の安全が守られないと、芸術や科学は花開けない。だから国の安全を支えたい」。防衛省を志した私の原点です。これからも初心を忘れず、仕事に取り組んでいきたいと思います。
「防災訓練で「リペリング」(ヘリからロープを伝って地上に降りる技術)を女性自衛官だけのチームで展示してほしい。」と中隊長から話を受けたのは、育児休暇から復帰して2か月が過ぎた頃でした。女性でリペリングをしている者はおらず、驚きと不安で一杯でしたが、育休から復帰して気持ちも新たに任務に取り組んでいたところでもあり、初めて挑戦しました。訓練開始当初は恐怖しかなく、歯を食いしばって跳ぶのが精一杯でしたが、限られた時間の中でチーム一丸となって取り組みました。
訓練展示当日は、TRWU(Takigahara Rescue Women’s Unit)のベストな展示を実施することができ、沢山の拍手を感じる中、大きな達成感に力が抜けて行くのを感じました。今回訓練に参加して思ったことは、男女変わりなくできる訓練は沢山あるという事です。今後も女性隊員としての活躍を目指し、与えられた任務や新たな挑戦に積極的に参加していきたいと思います。
私は、ミサイル艇における初の女性乗組員として、平成28年6月から「しらたか」で勤務しています。これまでは、護衛艦「あきづき」及び「すずつき」で勤務してきました。ミサイル艇は乗組員が少ないため、職種に関係なく様々な業務があります。「しらたか」で勤務する女性は、私を含め2人だけですが、作業を艇員総員で実施するため一体感が強く、アットホームな雰囲気で楽しく勤務出来る環境です。ちなみに、ミサイル艇は小型で速度が速いため、揺れが大きく、出港中は船酔いとの闘いです。
私が入隊した頃は女性が乗れる船が少なかったので、多くの女性自衛官が陸上で勤務していましたが、現在は潜水艦を除く全ての艦種に女性が乗れるようになり、女性自衛官の活躍の場が広がっています。ミサイル艇で勤務できることに感謝し、誇りと責任を持って勤務に臨みたいと思います。
私は部隊で土木建築を担当しており、基地内の道路、建物などの維持補修、飛行場地区の除雪及び除草を行っています。
土木建築と聞いて男性の仕事というイメージが強いと思うのですが、体格が小柄な私でも大型建設機械を操作し、男性隊員とともに作業を行っています。道路や、建物の補修において、劣化状況によって作業内容が異なるため、状況に応じた作業を行い、また飛行場地区の除雪、草刈作業においても、どうしたら安全に効率よくできるのかを考えなければいけません。さらに、車両の整備も行うため、幅広い知識、技能の習得が必要です。部隊では様々な経験を積むことができるため、とても充実した日々を過ごしています。
作業を終えた後の達成感や、作業の際「ありがとう!」と声をかけていただくたびにやり甲斐を感じ、誇りを持ってこの仕事を実施しています。