防衛省・自衛隊は、重要影響事態に際して、重要影響事態安全確保法や船舶検査活動法に基づき、後方支援活動としての物品・役務の提供や捜索救助活動、船舶検査活動を行うこととしている。
情勢の推移に応じて的確に防衛政策を立案し、また、各種事態への対処において防衛力を効果的に運用するためには、わが国周辺などにおける中長期的な軍事動向を把握するとともに、各種事態の兆候を早期に察知することが必要である。このため、防衛省・自衛隊は、平素から、各種の手段による情報の迅速・的確な収集に努めている。
防衛省・自衛隊による具体的な情報収集の手段としては、①わが国上空に飛来する軍事通信電波や電子兵器の発する電波などの収集・処理・分析、②各種画像衛星(情報収集衛星36を含む)からのデータの収集・判読・分析、③艦艇・航空機などによる警戒監視、④各種公刊情報の収集・整理、⑤各国国防機関などとの情報交換、⑥防衛駐在官などによる情報収集などがあげられる。
わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している中で、情報能力の強化が一層重要な課題となっていることから、防衛省は、現在、収集・分析・共有・保全などの全ての段階における情報能力の総合的強化を図っている。具体的には、各種情報を融合して情勢を視覚化するなどによる地理空間情報の高度な活用、教育課程の統合・強化などによる能力の高い分析官の確保、防衛駐在官の派遣体制の強化などを進めることとしている。
こうした中、17(平成29)年3月には、わが国の安全保障における中東地域の重要性、ISILの動向や国際テロに関する情報収集の必要性などを踏まえ、新たにヨルダン及びアラブ首長国連邦に防衛駐在官を派遣した。また、アジア太平洋地域における情報収集体制の強化や防衛協力の促進を図るため、モンゴルにも新たに防衛駐在官を派遣した。また、平成29(2017)年度中に、わが国にとって重要なシーレーンに位置するフィリピンやベトナムに防衛駐在官を追加派遣することを計画するとともに、ウクライナ情勢の悪化を始めとする昨今の欧州を巡る情勢の変化を受けて、平成26(2014)年度以降派遣をとりやめていたフィンランドに防衛駐在官を再派遣することを計画している。
参照図表III-1-2-21(防衛駐在官派遣状況)