防衛省・自衛隊は、紛争・テロなどの根本原因の解決などのための開発協力を含む外交活動とも連携しつつ、国際平和協力活動などに積極的に取り組んでいる。
防衛省・自衛隊は、国際平和協力活動として、現在までに①国際連合平和維持活動(いわゆる国連PKO)への協力をはじめとする国際平和協力業務、②海外の大規模な災害に対応する国際緊急援助活動、③旧イラク人道復興支援特措法に基づく活動並びに④旧テロ対策特措法及び旧補給支援特措法に基づく活動を行ってきた。07(平成19)年には、国際平和協力活動を、付随的な業務1から、わが国の防衛や公共の秩序の維持といった任務と並ぶ自衛隊の本来任務2に位置づけた。
参照図表III-2-3-1(自衛隊による国際平和協力活動)
資料17(自衛隊の主な行動)、資料18(自衛官又は自衛隊の部隊に認められた武力行使及び武器使用に関する規定)、資料63(国際平和協力活動関連法の概要比較)、資料64(自衛隊が行った国際平和協力活動など)
自衛隊が国際平和協力活動に積極的に取り組むためには、引き続き、各種体制の整備を進めるなど、平素からの取組が重要である。このため、陸海空自ともに、派遣待機部隊などを指定し、指定された部隊などは、常続的に待機についている。
15(同27)年9月、国連は国際平和維持活動について柔軟性及び即応性を確保すべく、国連本部が各国の登録内容をより具体的に把握することを目的として平和維持活動即応登録制度(PCRS:Peacekeeping Capability Readiness System)を立ち上げた。これを踏まえ、16(同28)年3月、わが国は施設部隊や司令部要員などについて登録を行った。
また、自衛隊は、国際平和協力活動などにおいて人員・部隊の安全を確保しつつ任務を遂行するために必要な、派遣先での情報収集能力や防護能力の強化を進めている。また、多様な環境や任務の長期化に対応するため、輸送展開能力及び情報通信能力の向上、並びに円滑かつ継続的な活動のための補給・衛生の体制整備に取り組んでいる。
国際平和協力活動への従事にあたり必要な教育については、駒門(こまかど)駐屯地(静岡県)の国際活動教育隊において、派遣前の陸自要員の育成及び訓練支援などを行っている。また、統合幕僚学校の国際平和協力センターでは、国際平和協力活動などに関する基礎的な講習を行うとともに、国連が実施するPKO活動などにおける派遣国部隊指揮官や、派遣ミッション司令部幕僚要員を養成するための専門的な教育を、国連標準の教材や外国人講師を活用して行っている。さらに、平成26(2014)年度からは外国軍人や関係府省職員を含めた教育を行っている。これは、多様化・複雑化する現在の国際平和協力活動の実態を踏まえ、関係府省や諸外国などとの連携・協力の必要性を重視したものであり、教育面での連携の充実を図ることで、より効果的な国際平和協力活動に資することを目指している。
国や家族から遠く離れ、困難な勤務環境下で任務を遂行することを求められる派遣隊員が、心身の健康を維持して任務を支障なく遂行できる態勢を整えることは極めて重要である。このため、防衛省・自衛隊では、任務に従事する隊員や留守家族の不安を軽減するよう、各種家族支援施策を実施している。
また、メンタルヘルスケアとして、全隊員に対し、①派遣前のストレス軽減に必要な知識を与えるための講習、②派遣前から派遣後にかけての複数回のメンタルヘルスチェック、③派遣中のメンタルヘルス要員などによる隊員の不安や悩みなどの相談についてカウンセリング、④派遣中の本邦から専門的知識を有する医官を中心としたメンタルヘルス診療支援チームの派遣、⑤帰国に際してのストレス軽減のための帰国前教育及び⑥帰国後の臨時健康診断を、継続的に実施している。