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第III部 国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組

3 調達の効率化に向けた取組など

1 効果的・効率的な維持・補給

装備品の定期整備についても、安全性の確認を十分に行ったうえでその実施間隔を延伸し、効率化を図っている。平成29年度予算においては、輸送ヘリコプターのエンジンの維持・整備方法を見直すことなどによる経費縮減を見込んでいる。

また、装備品の可動率の向上と長期的なコスト抑制を図る観点から、PBL(Performance Based Logistics)(成果保証契約)8の導入に取り組んでいる。平成29年度予算においては、海自C-130R輸送機の機体維持などについてPBL契約を締結することにより、可動率の向上と適時適切な部品供給態勢の確保などを図るとともに、経費の縮減を見込んでいる。

参照II部2章4節(3 効率化への取組)

PBLの長期契約で可動率の向上とコスト抑制を図る海自C-130R輸送機

PBLの長期契約で可動率の向上とコスト抑制を図る海自C-130R輸送機

2 装備品取得のさらなる効率化

装備品の取得にあたっては、契約制度の見直しのほか、共用装備品の一括調達、一部構成品の共通化、装備品のファミリー化などにより、開発・取得・維持経費の低減を図っている。平成29年度予算においては、装備品のファミリー化の取り組みとして、地対空誘導弾をベースに新たな艦対空誘導弾を開発することによる開発経費の縮減を見込んでいる。

また、複数年度分の装備品や部品を特定の年度にまとめて予算化・契約することで効率化を図るまとめ買いを行っている。平成29年度予算においては、護衛艦の高性能20mm機関砲やコンピューターソフトウェアライセンスなどのまとめ買いによる経費縮減を見込んでいる。

さらに、過去の主要装備品などの調達価格の内訳や実績価格のデータベース化を早急に進めることとしており、このデータベースを活用することにより、調達価格の妥当性の検証は勿論のこと、新規装備品のライフサイクルコストの見積の精度向上、効率化に活用することを見込んでいる。

参照II部2章4節(3 効率化への取組)

3 公正性・透明性の向上のための取組

防衛省では、装備品などの取得にかかる公正性・透明性の向上を図るため、契約の適正化のための措置や、チェック機能の強化のための措置を講じている。

まず、政府全体の取組である「公共調達の適正化」として、防衛省においても総合評価落札方式9の導入拡大、入札手続の効率化を継続して実施している。これに加え、12(平成24)年に相次いで発生した防衛関連企業による過大請求事案や製品試験結果の改ざん事案などの反省を踏まえた再発防止策として、制度調査の強化や違約金の見直し、監督検査の実効性の確保などを着実に実施しており、これらを通じて不祥事の再発防止、公正性・透明性の向上及び契約の適正化に取り組んでいる。

また、防衛装備庁においては、より強力なチェックを行うため、監察・監査部門を設置して内部監察などを行うとともに、防衛監察本部による監察や外部有識者からなる防衛調達審議会における審議などにより、同庁の内外から重層的なチェックを実施している。さらに教育部門を充実させ、職員に対する法令遵守にかかる教育を徹底することにより、コンプライアンス意識の向上にも努めている。

しかしながら、そのような取組にもかかわらず、16(同28)年12月、海上自衛隊多用途ヘリコプター(艦載型)の機種選定に関し、手続の公正性が十分に確保されているとはいえない状況が防衛監察本部による特別防衛監察によって明らかになった。防衛省では、再発防止策として機種選定におけるチェック態勢の見直しや、機種選定手続通達の厳格化などの措置を図り、更なる公正性・透明性の向上に努めている。

参照図表III-4-3-3(防衛装備品調達に関する監察・監査機能)

図表III-4-3-3 防衛装備品調達に関する監察・監査機能

8 可動率や安定在庫の確保といった装備品のパフォーマンスの達成に対して対価を支払う契約方式であり、欧米諸国で装備品の維持・整備に適用されて効果を上げている。

9 技術的要素の評価などを行うことが適当であるものについて、価格のみによる自動落札方式とは異なり、価格以外の要素と価格とを総合的に評価して落札者を決定する方式