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第III部 国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組

5 海洋安全保障の確保に向けた取組

1 政府としての基本的考え方

国家安全保障戦略においては、「開かれ安定した海洋」の維持・発展に向け主導的な役割を発揮し、シーレーンにおける様々な脅威に対して海賊対処などの必要な措置を取り、海上交通の安全を確保することや、海洋安全保障に係る二国間・多国間の共同訓練などに取り組むこととしているほか、わが国のシーレーン沿岸国などの海上保安能力の向上を支援することとしている。

また、13(平成25)年4月に閣議決定された新たな海洋基本計画24では、海洋の安全を確保するため、広域的な常時監視体制の強化や、艦船、航空機などの計画的な整備、自衛隊と海上保安庁との連携体制の強化、沿岸、離島の治安・安全確保のための連携体制の構築などに取り組むこととしているほか、海洋の秩序の形成・発展に貢献するため、多国間及び二国間の海洋協議などの場を活用して国際的なルールやコンセンサス作りに貢献することとしている。

アリゾナ記念館における慰霊のため米海軍将官艇に乗り込んだ村川海幕長(右)とスウィフト米太平洋艦隊司令官(左)(17(平成29)年1月)

アリゾナ記念館における慰霊のため米海軍将官艇に乗り込んだ
村川海幕長(右)とスウィフト米太平洋艦隊司令官(左)
(17(平成29)年1月)

2 防衛省・自衛隊の取組

防衛省・自衛隊は、「開かれ安定した海洋」の秩序を維持し、海上交通の安全を確保するため、海賊対処行動を実施するほか、同盟国などとより緊密に協力し、沿岸国自身の能力向上を支援するとともに、様々な機会を利用した共同訓練・演習の充実などの各種取組を推進している。

また、中国との間では、不測の事態の発生の回避・防止のため、海空連絡メカニズムの早期運用開始に向けた防衛当局間の協議を行っている。

参照2章1節4項4(日中防衛交流・協力)
2章2節(海洋安全保障の確保)

24 海洋をめぐる情勢の変化を踏まえ、①国際協調と国際社会の貢献、②海洋の開発・利用による富と繁栄、③「海に守られた国」から「海を守る国へ」、④未踏のフロンティアへの挑戦といった海洋立国日本の目指すべき姿を明記し、重点的に推進する取組を定めている。