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第II部 わが国の安全保障・防衛政策

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第3章 新たな防衛計画の大綱

防衛計画の大綱はわが国を取り巻く安全保障環境や世界の軍事情勢の変化を把握し、これらを踏まえつつ、わが国の防衛力のあり方と保有すべき防衛力の水準について規定するいわばわが国の平和と安全を確保するグランドデザインである。防衛計画の大綱は常に安全保障環境の現実に真正面から向き合い、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を示してきた。

防衛計画の大綱は1976(昭和51)年に初めて策定されて以来、計6回策定されており、18(平成30)年に新防衛大綱1として、新たな指針が策定された。

第1節 防衛計画の大綱の変遷

1 51大綱

51大綱2は、1970(昭和45)年代のデタント3を背景として策定されたものであり、①全般的には東西間の全面的軍事衝突などが生起する可能性は少ない、②わが国周辺においては、米中ソの均衡的な関係と日米安保体制の存在がわが国への本格的な侵略の防止に大きな役割を果たし続けるとの認識に立っている。

そのうえで、わが国が保有する防衛力については、①防衛上必要な各種の機能を備え、②後方支援体制を含めてその組織および配備において均衡のとれた態勢をとることを主眼とし、③これをもって平時において十分な警戒態勢をとりうるとともに、④限定的かつ小規模な侵略までの事態に有効に対処することができ、⑤さらに情勢の変化が生じ、新たな防衛力の態勢が必要とされるに至ったときには、円滑にこれに移行できるよう配慮されたものとすることとした。51大綱で導入した「基盤的防衛力構想」は、このようにわが国への侵略の未然防止に重点を置いた抑止効果を重視した考え方である。

1 「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について」(平成30年12月18日国家安全保障会議及び閣議決定)

2 「昭和52年度以降に係る防衛計画の大綱について」(昭和51年10月29日国防会議及び閣議決定)

3 1962(昭和37)年のキューバ危機を契機として、当時冷戦と呼ばれる対立関係にあった米ソの緊張状態が緩和していった状況を指す。1979(昭和54)年のソ連のアフガニスタン侵攻によって終焉