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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

3 多国間における安全保障協力の推進

1 多国間安全保障枠組み・対話における取組

多国間の枠組みについては、拡大ASEAN国防相会議(ADMM(ASEAN Defence Ministers' Meeting)プラス)、ASEAN地域フォーラム13(ARF:ASEAN Regional Forum)をはじめとした取組が進展しており、アジア太平洋地域の安全保障分野にかかる議論や協力・交流の重要な基盤となっている。わが国としては、そうした枠組みなどを重視して域内諸国間の協力・信頼関係の強化に貢献していく。また、わが国としても日ASEAN防衛当局次官級会合や東京ディフェンス・フォーラムを毎年開催するなど、地域における多国間の協力強化に寄与している。

参照資料47(多国間安全保障対話の主要実績(インド太平洋地域・最近3年間))
資料48(防衛省主催による多国間安全保障対話)
資料49(その他の多国間安全保障対話など)

(1)拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)のもとでの取組

ASEAN諸国においては、域内における防衛当局間の閣僚会合であるASEAN国防相会議(ADMM)のほか、わが国を含めASEAN域外国8か国14を加えた拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)が開催されている。

ADMMプラスは、ASEAN域外国を含むアジア太平洋地域の国防相が出席する政府主催の唯一の公式の会議であるため、地域の安全保障・防衛協力の発展・深化の促進という観点から、極めて大きな意義があり、防衛省・自衛隊も参加・支援している。なお、ADMMプラスは、閣僚会合のもとに、①高級事務レベル会合(ADSOM:ASEAN Defence Senior Officials' Meeting)プラス、②ADSOMプラスWG、③専門家会合(EWG:Experts' Working Group)が設定されている15

18(平成30)年10月、岩屋防衛大臣は、シンガポールで開催された第5回ADMMプラスに出席し、「自由で開かれたインド太平洋」に触れた上で、力を背景とした一方的な現状変更を試みる動きに反対する旨述べ、法の支配が貫徹されることの重要性について強調した。

さらに、ADMMでは、空中における軍用機同士の遭遇にかかるガイドラインGAME(Guidelines for Air Military Encounters)が採択されたことを高く評価し、このような法の支配の充実や発展が進むことが、地域の信頼醸成につながる旨述べた。なお、ADMMプラスでは信頼醸成措置及び対テロにかかる共同宣言がそれぞれ採択された。

参照図表III-3-1-5(拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)の組織図及び概要)

図表III-3-1-5 拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)の組織図及び概要

(2)ASEAN地域フォーラム(ARF)

外交当局を中心に取り組んでいるARFについても、近年、災害救援活動、海洋安全保障、平和維持・平和構築といった非伝統的安全保障分野において、具体的な取組16が積極的に進められており、防衛省・自衛隊としても積極的に貢献している。例えば、海洋安全保障分野においては、09(平成21)年以来、海洋安全保障に関する会期間会合(ISM on MS(Inter-Sessional Meeting on Maritime Security))が開催17されており、わが国の取りまとめにより、海洋安全保障分野の能力構築支援に関する「ベストプラクティス集」を作成した。また、災害救援分野においては、同年以来、ARF災害救援実動演習(ARF-DiREx(Disaster Relief Exercise))が実施されており、防衛省・自衛隊からも、隊員や航空機などを派遣している。

18(平成30)年9月に「第22回ARF国防大学校長等会議」を防衛研究所が主催し、「アジア太平洋地域における新たな安全保障課題対応のためのパートナーシップ強化と能力構築」をテーマに、国防大学などにおける研究・教育や国防大学間の協力のあり方について議論した。

(3)防衛省・自衛隊が主催している多国間安全保障対話

ア 日ASEAN防衛担当大臣会合及び「ビエンチャン・ビジョン」

13(平成25)年12月の日ASEAN特別首脳会議における安倍内閣総理大臣の提案に基づき、14(平成26)年11月、バガン(ミャンマー)において、初の日ASEAN防衛担当大臣会合が開催された。人道支援・災害救援(HA/DR)や海洋安全保障といった非伝統的安全保障分野における協力について意見交換を行った本会合は、50年近くに及ぶ日ASEAN友好・協力の歴史において、初めてわが国とASEAN諸国の防衛担当大臣が一堂に会した画期的な機会であり、今後の防衛協力強化に向けた重要な一歩となった。

16(平成28)年11月、ビエンチャン(ラオス)において第2回日ASEAN防衛担当大臣会合が開催され、同会合において稲田防衛大臣(当時)から、日ASEAN防衛協力の指針として、わが国独自のイニシアティブである「ビエンチャン・ビジョン~日ASEAN防衛協力イニシアティブ~」を提示し、ASEANの全ての国々から歓迎された。

同ビジョンは、ASEAN全体への防衛協力の方向性について、透明性をもって、重点分野の全体像を示した初めてのものである。具体的には、ASEAN個別の国に加えて、ASEAN全体の能力向上に資する協力を①法の支配の貫徹、②海洋安全保障の強化、③多様化・複雑化する安全保障上の課題への対処、の3点に重点を置いて推進していくこととしている。また、同ビジョンに基づき、①国際法の実施に向けた認識共有促進、②能力構築支援、③防衛装備・技術協力、④訓練・演習、⑤人材育成・学術交流といった多様な手段を組み合わせた実践的な防衛協力を推進している。

同ビジョンを発表した翌年からは毎年、日ASEAN協力プログラムを実施している。海洋安全保障分野では、17(平成29)年から「日ASEAN乗艦協力プログラム」に ASEAN全加盟国及びASEAN事務局から参加者を招へいしている。19(令和元)年6月には、ブルネイからフィリピンまでの海域を航行中の海自護衛艦「いずも」艦上において、第3回「日ASEAN 乗艦協力プログラム」を行い、人道支援・災害救援(HA/DR)や、海洋に関する国際法及び国際航空法に関するセミナーなどを実施した。

人道支援・災害救援(HA/DR)分野では、「HA/DRに関する日ASEAN招へいプログラム」を18(平成30)年から実施しており、19(平成31)年2月には、第2回招へいプログラム」として、ASEAN全加盟国及びASEAN事務局を招へいし、大規模災害時のわが国の対応要領にかかるセミナーに加え、初めてとなる机上訓練を実施した。

また、国際法の分野でも、18(平成30)年11月にはASEAN全加盟国及びASEAN事務局を招へいし、「インド太平洋における地域協力と法の支配」と題した日ASEAN国際法シンポジウムを初めて開催した。

18(平成30)年10月に開かれた第5回ADMMプラスに合わせて第4回日ASEAN防衛担当大臣会合が開催され、岩屋防衛大臣からインド太平洋地域の安全保障課題が多様化・複雑化する中、日ASEAN間でより実践的な防衛協力が一層重要になっているとの認識を述べた。その具体的な提案として、ASEAN全加盟国の空軍士官及びASEAN事務局を日本へ招へいし、空軍種間の信頼醸成や、法の支配の貫徹に向けた価値の共有を進める日ASEAN協力事業として「プロフェッショナル・エアマンシップ・プログラム」を実施することを発表した。ASEAN側からは「ビエンチャン・ビジョン」発表後、様々な事業を通じた日ASEAN防衛協力が進展していることに歓迎の意が示され、今後もより実践的な日ASEAN防衛協力を一層推進していくことで一致した。

ADMMプラスに合わせて開催した第4回日ASEAN防衛担当大臣会合(18(平成30)年10月)

ADMMプラスに合わせて開催した第4回日ASEAN防衛担当大臣会合
(18(平成30)年10月)

このように、ASEAN全加盟国の参加者と、国際法の認識共有や海洋安全保障、HA/DRなど様々な分野でのセミナーや研修などを通じた能力向上支援及び相互理解・人的ネットワーク構築の促進を図り、もってインド太平洋地域の安定に寄与している。

参照資料50(ビエンチャン・ビジョン~日ASEAN防衛協力イニシアティブ~)

イ 日ASEAN防衛当局次官級会合

日ASEAN間の次官級の人脈構築を通じた二国間・多国間の関係強化を図るため、09(平成21)年より毎年、防衛省の主催により日ASEAN防衛当局次官級会合を開催している。

18(平成30)年9月には第10回会合を名古屋で開催し、ASEAN全加盟国及びASEAN事務局の次官級の参加を得て、①「『法の支配』を中心とする普遍的価値の共有に向けた課題と取組」、②「災害対処の課題と対策」及び③「日ASEAN防衛協力の展望」の3つのテーマについて意見交換を行った。複雑化・多様化する脅威に対処する中で、法の支配を中心とする普遍的価値の共有を進めるとともに、多発する災害に対する対処能力を向上させることが重要であり、そのためには日ASEANの防衛当局間が緊密に連携して対応することが重要との認識で一致した。

ウ 東京ディフェンス・フォーラムなど

防衛省は、1996(平成8)年から地域諸国の防衛政策担当幹部(国防省局長・将官級)を対象とする「アジア太平洋地域防衛当局者フォーラム(東京ディフェンス・フォーラム)」を毎年開催し、各国の防衛政策や防衛分野での信頼醸成措置への取組について意見交換を行っている。

防衛省が主催した「アジア太平洋地域防衛当局者フォーラム(東京ディフェンス・フォーラム)」

防衛省が主催した「アジア太平洋地域防衛当局者フォーラム
(東京ディフェンス・フォーラム)」

19(平成31)年3月に開催された第23回フォーラムでは、主にインド太平洋地域の国々28か国に加え、ASEAN事務局、欧州連合(EU)及び赤十字国際委員会(ICRC)の参加を得て、「インド太平洋地域における安全保障課題」及び「変動する安全保障課題と展望」について幅広く議論を行った。

また、02(平成14)年より、わが国の安全保障・防衛政策、自衛隊の現状などに関する理解の促進を目的として、アジア太平洋地域の国から、主に安全保障政策の関係者をオピニオン・リーダーとしてわが国に招へいしている。

(4)その他

ア 国際機関主催の国際会議

防衛審議官は、19(平成31)年3月に、ニューヨーク(米国)で開催された「国連PKOに関する閣僚級会合」において、わが国が中心となり実施してきた国連PKO支援部隊早期展開プロジェクト(RDEC)へのさらなる貢献、国連PKO工兵部隊マニュアル改訂作業、PKO分野での女性要員増加に向けた取組などについて言及した。

参照5節2項(国連平和維持活動などへの取組)

イ 民間機関主催の国際会議

安全保障分野においては、政府間の国際会議だけではなく、政府関係者、学者、ジャーナリストなどが参加する民間機関主催の国際会議も開催され、中長期的な安全保障上の課題の共有や意見交換などが行われている。主な国際会議としては、IISS(International Institute for Strategic Studies)(英国国際戦略研究所)が主催する「IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)18」や、欧米における安全保障会議の中でも最も権威ある会議の一つである「ミュンヘン安全保障会議19」がある。

19(平成31)年2月に開催された第55回「ミュンヘン安全保障会議」に、わが国から、河野外務大臣と、原田防衛副大臣がそれぞれ出席した。今回の会議では、外務大臣・国防大臣を中心に閣僚級数十名や、10を超える国際機関の長などが参加し、複雑化する安全保障環境を踏まえ、NATOやEUを含む欧州をめぐる安全保障に関する様々な議論が行われた。

ミュンヘン安全保障会議においてフルトクヴィスト・スウェーデン国防大臣と会談する原田防衛副大臣(19(平成31)年2月)

ミュンヘン安全保障会議においてフルトクヴィスト・スウェーデン国防大臣と会談する原田防衛副大臣(19(平成31)年2月)

同年6月に開催された第18回シャングリラ会合では、岩屋防衛大臣が、第2セッション「朝鮮半島の安全保障:次のステップ」においてスピーチを行い、日米が共有する「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンに賛同を呼びかけた。その上で、北朝鮮が保有する全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法による廃棄の重要性を強調し、国際社会の団結を呼びかけるなど、わが国の見解を表明した。また、参加国との2か国・3か国会談を実施し、北朝鮮情勢などを含む地域情勢や防衛交流などについて意見交換を行い、各国との今後の協力強化の方策を確認した。

ウ 各軍種間における取組

統幕長は、18(平成30)年9月、米インド太平洋軍主催のインド・アジア太平洋諸国参謀総長等会議(CHOD:Chief of Defense Conference)に参加し、北朝鮮の非核化に向けた国際社会の連携の必要性及び航行の自由やルールに基づく秩序維持の観点からの「自由で開かれたインド太平洋」の有用性などについて各国と認識を共有した。19(平成31)年1月には、インドで開催された多国間フォーラム「ライシナ・ダイアローグ」に豪国防軍司令官、仏海軍参謀長、印軍参謀長、米インド太平洋軍司令官とともにパネリストとして参加し、自由で開かれたインド太平洋を実現するため、各国が法の支配、航行の自由といった普遍的価値に基づき協調していく重要性や、日米豪印仏の強固な連帯などについて説明した。

インドにおいて開催された多国間フォーラム「ライシナ・ダイアローグ」に参加した河野統幕長(当時)(左より豪国防軍司令官、仏海軍参謀長、統幕長、米太平洋軍司令官、印参謀長委員会委員長)

インドにおいて開催された多国間フォーラム「ライシナ・ダイアローグ」に参加した河野統幕長(当時)(左より豪国防軍司令官、仏海軍参謀長、統幕長、米太平洋軍司令官、印参謀長委員会委員長)

陸幕長は、18(平成30)年9月、豪陸軍主催の陸軍種参謀長セミナー(CALFS:Chief of Army Land Forces Seminar)に参加し、各国陸軍トップとインド太平洋地域の重要性、多様性、不安定性と陸軍の果たすべき役割及び陸軍種間のさらなる信頼醸成がますます重要であることについて認識を共有した。

海幕長は、18(平成30)年9月、米海軍が主催する国際シーパワー・シンポジウム(ISS:International Seapower Symposium)に参加し、各国海軍高官などと情報共有及び意見交換を実施することで、相互理解の促進、信頼関係の構築及び海自の取り組みに関する国際的発信を図った。また、18(平成30)年11月、インド海軍が主催するインド洋海軍シンポジウム(IONS:Indian Ocean Naval Symposium)」10周年記念セミナーへ参加し、インド海軍をはじめ、IONS加盟各国との相互理解の促進、協力関係の強化を図った。

空幕長は、18(平成30)年7月、英空軍参謀長からの招待に応じ、英軍が主催する英空軍創立100周年記念行事、エア・パワー会議(APC:Air Power Conference)及びエアショー(RIAT)に参加し、安全保障問題及び地域情勢、安全保障協力の推進などについて幅広い意見交換を通じ両国空軍種の関係強化を図った。また、19(平成31)年2月にオーストラリアが開催する空軍参謀長等国際フォーラム、同年同月にアバロン国際航空ショー及び航空宇宙・防衛展示会に参加し、各国空軍参謀長などとの安全保障・防衛に関する意見交換や部隊訪問などを行うことで、相互理解及び信頼関係の強化を図った。

2 実践的な多国間安全保障協力の推進
(1)パシフィック・パートナーシップ

07(平成19)年から行われているパシフィック・パートナーシップ(PP:Pacific Partnership)は、米海軍を主体とする艦艇が域内各国を訪問して、医療活動、施設補修活動、文化交流などを行い、各国政府、軍、国際機関及びNGOとの協力を通じ、参加国の連携強化や国際平和協力活動の円滑化などを図る活動である。

わが国は、07(平成19)年以降、自衛隊の医療要員や部隊などを派遣しており、19(令和元)年は、マーシャル諸島及びベトナムに医療要員を派遣するとともに、マーシャル諸島には音楽隊要員も派遣して、医療及び文化交流に関する活動を実施した。加えて、東ティモールでの女性・平和及び安全保障に関する活動に講師を派遣した。

(2)多国間共同訓練

ア インド太平洋地域での多国間共同訓練の意義

防衛省・自衛隊は、インド太平洋地域において、従来から行われていた戦闘を想定した訓練に加え、人道支援・災害救援(HA/DR)、非戦闘員退避活動(NEO:Non-combatant Evacuation Operation)などの非伝統的安全保障分野を取り入れた多国間共同訓練に積極的に参加している。こうした訓練への参加は、自衛隊の各種技量の向上に加え、関係国間との協力の基盤を作る上で重要であり、今後とも積極的に取り組んでいく。

参照資料51(多国間共同訓練の参加など(最近3年間))

イ 多国間共同訓練への取組

近年、防衛分野における多国間関係は「信頼醸成」の段階から「具体的・実践的な協力関係の構築」の段階へと移行しており、これを実効的なものとするための重要な取組として、様々な多国間共同訓練・演習が活発に行われている。

自衛隊は、19(平成31)年1月から2月の間、米・タイ共催の多国間共同訓練(コブラ・ゴールド)に参加し、海賊対処行動及び諸外国の軍隊に対する協力支援活動などに関する幕僚訓練、在外邦人等保護措置にかかる実動訓練、人道・民生支援活動の人道支援・災害救助及び建設部門に参加した。

陸自は、18(平成30)年6月、モンゴルにおける18か国での多国間共同訓練「カーン・クエスト18」に参加した。また、陸自は、02(平成14)年以降、毎年、アジア太平洋地域多国間協力プログラム(MCAP:Multinational Cooperation program in the Asia Pacific)を主催し、関係各国の実務者を招へいしている。18(平成30)年11月には、15か国からの参加を得て、東北方面隊が主催する大規模災処対処訓練「みちのくALERT 2018」を研修させ、人道支援・災害救援(HA/DR)分野の知見の共有を図った。

海自は、18(平成30)年6月から8月の間、ハワイ諸島及びカリフォルニア州周辺海域において米海軍が主催する26か国での多国間共同訓練「RIMPAC2018」に、同年8月には、オーストラリア周辺海空域において豪海軍が主催する多国間共同訓練「カカドゥ2018」に参加した。

空自は、18(平成30)年12月、ミクロネシア連邦などにおける日米豪人道支援・災害救援(HA/DR)共同訓練「クリスマス・ドロップ」に参加した。

13 ARFは、政治・安全保障問題に関する対話と協力を通じ、アジア太平洋地域の安全保障環境を向上させることを目的としたフォーラムで、1994(平成6)年から開催されている。現在26か国(ASEAN10か国(ブルネイ、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、カンボジア(以上1995(平成7)年から)、ミャンマー(1996(平成8)年から)に、日本、オーストラリア、カナダ、中国、インド(以上1996(平成8)年から)、ニュージーランド、パプアニューギニア、韓国、ロシア、米国、モンゴル(以上1998(平成10)年から)、北朝鮮(00(平成12)年から)、パキスタン(04(平成16)年から)、東ティモール(05(平成17)年から)、バングラデシュ(06(平成18)年から)、スリランカ(07(平成19)年から)を加えた26か国)と1機関(欧州連合(EU:European Union))がメンバー国となり、外務当局と防衛当局の双方の代表による各種政府間会合を開催し、地域情勢や安全保障分野について意見交換を行っている。

14 10(平成22)年10月に発足し、ASEAN域外国として、わが国のほか、米国、オーストラリア、韓国、インド、ニュージーランド、中国及びロシアが参加している。

15 EWGにおいて、わが国は積極的に貢献してきており、18(平成30)年には、2月、4月、7月及び9月に人道支援・災害救援(HA/DR)EWGに、4月及び11月にPKO-EWGに、4月及び10月に地雷処理EWGに、8月に対テロEWGに、5月及び11月にサイバーセキュリティEWGに、5月及び11月に海洋安全保障EWGに、2月及び12月に防衛医学EWGに、それぞれ参加した。

16 毎年、外相級の閣僚会合のほかに、高級事務レベル会合(SOM:Senior Officials' Meeting)及び会期間会合(ISM:Inter-Sessional Meeting)が開かれるほか、信頼醸成措置及び予防外交に関する会期間支援グループ(ISG on CBM/PD:Inter-Sessional Support Group on Confidence Building Measures and Preventive Diplomacy)、ARF安全保障政策会議(ASPC:ARF Security Policy Conference)などが開催されている。また、02(平成14)年の閣僚会合以降、全体会合に先立って、ARF防衛当局者会合(DOD:Defense Officials' Dialogue)が開催されている。

17 わが国は11(平成23)年、インドネシア及びニュージーランドとともに第3回会期間会合を、17(平成29)年、フィリピン及び米国とともに第9回会期間会合を東京で共催した。

18 諸外国の国防大臣クラスを集めて防衛問題や地域の防衛協力についての議論を行うことを目的として開催される多国間会議であり、民間研究機関である英国の国際戦略研究所の主催により始まった。02(平成14)年の第1回から毎年シンガポールで開催され、会場のホテル名からシャングリラ会合(Shangri-La Dialogue)と通称される。

19 欧米における安全保障会議の中で最も権威ある民間主催の国際会議の一つであり、1962(昭和37)年から毎年(例年2月)開催されている。欧州主要国の閣僚をはじめ、世界各国の首脳や閣僚、国会議員、国際機関主要幹部が例年参加している。