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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

6 在日米軍施設・区域がもたらす影響の緩和に関する施策

1 在日米軍施設・区域をめぐる環境保全への取組

00(平成12)年9月の「2+2」において、両国政府は、環境保護が重要であるとの認識のもと、在日米軍施設・区域の周辺住民、米軍関係者やその家族などの健康と安全の確保を共通の目的とすることに合意し、「環境原則に関する共同発表」23を行った。この発表のフォローアップのため、日米協議が強化され、在日米軍が作成する日本環境管理基準24(JEGS:Japan Environmental Governing Standards)の定期的見直しの際の協力の強化、環境に関する情報交換、環境汚染への対応などにかかわる協議について、防衛省としても、関係省庁と連携して取り組んでいる。

さらに、15(平成27)年9月、日米両政府は、日米地位協定を補足する在日米軍に関連する環境の管理の分野における協力に関する協定への署名を行い、同協定は同日に発効した。この補足協定は、法的拘束力を有する国際約束であり、日本環境管理基準(JEGS)の発出・維持や施設及び区域への立入手続の作成・維持等について規定している。

2 在日米軍の運用における安全確保

在日米軍の運用にあたって、地域住民の方々の安全確保は大前提であり、事件・事故はあってはならない。日米両国は、安全の確保を最優先の課題として協力して取り組んでいる。

このような中、17(平成29)年10月には、普天間飛行場所属CH-53Eヘリコプターの国頭郡東村への緊急着陸・炎上、同年12月には、同飛行場所属のCH-53Eヘリコプターの窓の普天間第二小学校グラウンドへの落下などが発生した。また、19(平成31)年に入っても、米軍機の民間空港などへの予防着陸・緊急着陸などが発生している。

これらの事故などに際し、わが国としては、地元の不安や懸念を踏まえ、首脳や閣僚レベルを含め、米側に対し、わが国の考え方をしっかり伝えるとともに、再発防止の徹底などを求めてきた。

これらの事故などの原因は、個々のケースで異なるものと考えられるが、わが国としては、米側の事故調査結果や再発防止策を聞くだけではなく、自衛隊の専門的知見も活用して確認を行ったうえで、その合理性を判断している。また、防衛省としては、米側に対しこれらの事故などに関する情報提供を強く求め、得られた情報を適時に関係自治体に説明している。

3 その他の措置

わが国は、在日米軍施設・区域の周辺地域の生活環境などの整備のための措置を行っている。また、総務省は、固定資産税の代替的性格を有する基地交付金などを、市町村に対し交付している。

さらに、在日米軍施設・区域の周辺地域において、米軍人などによる事件・事故が地域や住民に影響を与えており、政府は、米軍に対し、軍人などの教育や綱紀粛正といった再発防止策について実効性のある措置を講ずるよう求めている。また、こうした再発防止策に協力するとともに、事件・事故による被害に対し迅速で適切な補償が行われるよう措置している。

米側においても、夜間飲酒規制措置や一定階級以下の米軍人を対象とする夜間外出規制措置などを含む勤務時間外行動の指針(リバティ制度)を示すなど、対策を実施している。

参照資料36(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定を補足する日本国における合衆国軍隊の軍属に係る扱いについての協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定)

一方、犯罪を抑止し、沖縄県民の安全・安心を確保するための対策を、政府として早急に推進する必要があるとの認識のもと、16(平成28)年6月「沖縄県における犯罪抑止に関する対策について」が取りまとめられた。本対策の柱は、防犯パトロール体制の強化と安全・安心な環境の整備である。防衛省も、沖縄総合事務局に創設された「沖縄・地域安全パトロール隊」に参加しており、今後とも関係省庁と連携し、実効的な対策となるよう、協力することとしている。

参照IV部4章1節4項(防衛施設と周辺地域との調和を図るための施策)

23 ①環境管理基準、②情報交換と立入り、③環境汚染への対応、④環境に関する協議、の4項目からなる。

24 在日米軍が作成する環境基準。在日米軍の部隊と施設が人の健康と自然環境を保護することを保証するため、施設・区域内の環境汚染物質の取り扱い、保管方法などを定めている。