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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

7 わが国における大規模災害への対処における協力

東日本大震災においては、自衛隊と米軍との間でこれまで培われた強い絆に基づく、高い共同対処能力が発揮された。米軍の「トモダチ作戦」による自衛隊との共同対処の成功は、長年にわたる日米共同訓練などの成果であり、今後のさらなる同盟の深化につながるものとなった。米軍は、最大時で人員約1万6,000人、艦船約15隻、航空機約140機を投入するなど、その支援活動はかつてない規模で行われ、わが国の復旧・復興に大きく貢献するとともに、被災者をはじめ多くの国民が在日米軍への信頼と感謝の念を深めた。

一方で、国内災害における日米の役割・任務・能力の明確化、防災訓練への米軍の一層の参加を通じた共同要領の具体化、情報共有と効果的な調整のためのメカニズムのあり方などの課題も明らかとなった。

これらの課題を踏まえ、13(平成25)年12月に策定した南海トラフ巨大地震の対処計画などに日米共同対処要領が記載されるとともに、南海トラフ地震発生時における自衛隊、在日米軍、関係省庁、関係地方公共団体などとの連携による震災対処能力の維持・向上などを目的とする日米共同統合防災演習の実績を重ねている。

また、平成28年(2016年)熊本地震においては、米海兵隊オスプレイ(MV-22)による生活物資の輸送やC-130輸送機による自衛隊員の輸送などの協力が行われ、その際、地震対応のために組織された統合任務部隊が現地に開設した日米共同調整所を含め、同盟調整メカニズムが活用された。