II 役割と体制
07大綱
平成8年度以降に係る防衛計画の大綱について(平成7年11月28日、安全保障会議・閣議決定)
冷戦後の情勢を踏まえ、
防衛力のコンパクト化と質的向上を図り、
新たな役割を追加
- わが国が初めて防衛計画の大綱を策定したのは昭和51年。この51大綱は、東西冷戦の構造下、自らが力の空白となってわが国周辺地域における不安定要因とならないよう、独立国としての必要最小限の基盤的な防衛力を保有する考え方、すなわち「基盤的防衛力構想」を採用しました。
- 平成に入って冷戦は終結しましたが、国際情勢は依然として不透明・不確実な要素をはらみ、また、国際貢献や災害派遣への国民の期待が高まったことを背景として、07大綱が策定されました。
- 07大綱では、「基盤的防衛力構想」を基本的に踏襲しつつ、防衛力の合理化・効率化・コンパクト化を推進するとともに、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図ることとしました。また、防衛力の役割として「わが国の防衛」に加え、「大規模災害など各種の事態への対応」及び「より安定した安全保障環境の構築への貢献」を追加しました。
16大綱
平成17年度以降に係る防衛計画の大綱について(平成16年12月10日、安全保障会議・閣議決定)
新たな脅威や
多様な事態への対応のため、
抑止から対処を重視する方針に転換
- 16大綱は、米国に対する9.11テロや北朝鮮の弾道ミサイル開発など、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散の進展、国際テロ組織の活動などの新たな脅威や多様な事態への対応が課題となったことを背景として策定されました。
- 16大綱では、それまでの抑止効果を重視する防衛力から対処能力を重視する方針に転換し、新たな脅威や多様な事態に実効的に対応するとともに、国際平和協力活動にも主体的かつ積極的に取り組めるよう「多機能で弾力的な実効性のある防衛力」を構築することとしました。また、「基盤的防衛力構想」の有効な部分は継承することとしました。
体制整備の主要事項

支援戦闘機F-2の導入
(平成12年10月初配備)

ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)の更新
(平成21年3月護衛艦「ひゅうが」就役)

陸自の定数をコンパクト化し、
即応予備自衛官を導入(平成10年3月)

旅団への改編
(平成11年3月開始)

予備自衛官補制度の導入
(平成14年3月)

情報本部の新編
(平成9年1月)

特殊作戦群の新編(平成16年3月)、
特殊武器防護隊への改編(平成19年3月初の改編)
弾道ミサイル防衛システムの整備

イージス艦への弾道ミサイル対処能力付与
(平成20年11月 護衛艦「ちょうかい」)

地対空誘導弾PAC-3の導入
(平成19年3月初配備)

12式地対艦ミサイルの導入
(平成28年8月初配備)

哨戒機P-1の導入
(平成25年3月初配備)

空中給油・輸送部隊の新設
(平成21年3月)

統合幕僚監部の新設
(平成18年3月)

防衛庁の防衛省への移行
(平成19年1月)

中央即応集団の新編、国際活動教育隊の新編
(平成19年3月)
22大綱
平成23年度以降に係る防衛計画の大綱について(平成22年12月17日、安全保障会議・閣議決定)
新たな安全保障環境を踏まえ、防衛力の
「運用」に焦点を当てた動的防衛力を構築
- 22大綱は、中国などの国力が増大し、グローバルなパワーバランスに変化が生じるとともに、北朝鮮や中国の軍事動向などわが国周辺の軍事情勢も複雑さを増しているといった新たな安全保障環境を踏まえて策定されました。
- 22大綱では、防衛力の存在自体による抑止力を重視した、従来の「基盤的防衛力構想」によることなく、平素から各種の活動を適時、適切に行うことによって国家の意思や高い防衛力を示す「動的な抑止」を重視した「動的防衛力」を構築することとしました。その際、装備、人員、編成、配置などの抜本的な見直しによる思い切った効率化・合理化を図ることとしました。
25大綱
平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について(平成25年12月17日、国家安全保障会議・閣議決定)
厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、
統合運用による機動的な防衛力を構築
- 25大綱は、北朝鮮の核兵器・弾道ミサイル開発が重大かつ差し迫った脅威となり、中国が軍事活動を拡大・活発化するなどわが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増したことや東日本大震災での教訓などを踏まえ、わが国として初となる国家安全保障戦略とともに策定されました。
- 25大綱では、海上優勢・航空優勢の確保など各種活動を下支えする防衛力の「質」及び「量」を必要かつ十分に確保するとともに、後方支援基盤も強化することで、統合運用によりシームレスかつ臨機に即応して機動的な活動を行う「統合機動防衛力」を構築することとしました。
体制整備の主要事項

F-35Aの導入(平成30年1月初配備)

Xバンド衛星通信網の構築
(平成29年1月「きらめき2号」打上げ)

航空総隊司令部の横田移転(平成24年3月)

潜水艦の増勢(16隻→22隻(目標))


機動師団・旅団への改編、機動戦闘車の導入
(平成30年3月開始)

滞空型無人機グローバルホークの導入(令和3年度配備予定)
(写真は同型機種)

防衛装備庁の新設(平成27年10月)

陸上総隊の新編(平成30年3月)

新型護衛艦の導入(令和3年度就役予定)