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第II部 わが国の安全保障・防衛政策

8 防衛力を支える要素

新防衛大綱では、防衛力がその真価を発揮できるよう、防衛力を支える要素として以下の取組を重視するとしている。

1 訓練・演習

新防衛大綱では、関係機関、地方公共団体や民間部門とも連携しながら、より実践的で効果的かつ計画的な訓練・演習を実施すること、その際、北海道を始めとした国内の演習場などや国外の良好な訓練環境の整備・活用に加え、米軍施設・区域の共同使用、自衛隊施設や米軍施設・区域以外の場所の利用などを促進すること、シミュレーターなどをより積極的に導入することなどを挙げるとともに、事態に対処するための各種計画を不断に検証し、見直すため、訓練・演習を積極的に活用することとしている。

2 衛生

新防衛大綱では、隊員の生命を最大限守れるよう、第一線から最終後送先までのシームレスな医療・後送態勢を強化し、地域の特性を踏まえつつ、南西地域における自衛隊の衛生機能の強化を重視すること、自衛隊病院の拠点化・高機能化などにより、効率的で質の高い医療体制を確立すること、自衛隊の部隊の衛生にかかる人材確保のため、防衛医科大学校の運営改善をはじめとする取組を行うこと、戦傷医療対処能力の向上を含む教育・研究を充実・強化することなどを挙げている。

3 地域コミュニティーとの連携

新防衛大綱では、平素から防衛省・自衛隊の政策や活動に関する積極的な広報を行うとともに、自衛隊及び在日米軍の部隊や装備品の配備、訓練・演習などの実施にあたっては、地元の要望や情勢に応じたきめ細かな調整を実施すること、騒音などへの対策を含む防衛施設周辺対策事業を引き続き推進すること、各種事態において自衛隊が迅速かつ確実に活動を行うため、地方公共団体、警察・消防機関といった関係機関との連携を一層強化することを挙げた。

部隊の改編や駐屯地・基地などの配置にあたっては、地方公共団体や地元住民の理解を得られるよう、地域の特性に配慮するとともに、駐屯地・基地などの運営に当たっては、地元経済への寄与に配慮することとしている。

4 知的基盤

新防衛大綱では、安全保障・危機管理に対する国民の理解を促進するため、教育機関などにおける安全保障教育の推進に取り組むこと、防衛研究所による研究と政策支援を高い水準で両立させるため、政策部門との間の連携を促進するとともに、防衛研究所を中心とする研究体制を一層強化すること、その際、政府内の他の研究教育機関や国内外における優れた大学、シンクタンクなどと組織的な連携を推進することとしている。