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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

3 共同訓練・演習

平素から共同訓練を行うことは、戦術面などの相互理解や意思疎通といった相互運用性を向上させ、日米共同対処能力の維持・向上に大きく資するのみならず、日米それぞれの戦術技量の向上を図るうえでも有益である。とりわけ、実戦経験豊富な米軍から習得できる知見や技術は極めて貴重であり、自衛隊の能力向上に大きく資するものである。

また、効果的な時期、場所、規模で共同訓練を実施することは、日米間での一致した意思や能力を示すことにもなり、抑止の機能を果たすことになる。これらの観点を踏まえ、防衛省・自衛隊は、引き続き共同訓練の充実に努めている。

共同訓練・演習については、国内のみならず、米国への部隊派遣などにより拡大している。日米共同方面隊指揮所演習、対潜特別訓練、日米共同戦闘機戦闘訓練など軍種・部隊レベルにおいても、相互運用性及び日米の共同対処能力の向上の努力を続けている。

昭和60(1985)年度以降、日米共同統合演習として、おおむね毎年、指揮所演習や実動演習を行っており、18(平成30)年については、1月から2月にかけて防衛省市ヶ谷地区などにおいて指揮所演習、10月から11月にかけて、わが国の周辺海空域及び米国のグアムなどにおいて、陸海空自衛隊の人員約4万7,000人、艦艇約20隻、航空機約170機が参加する日米共同統合演習(実動演習)(キーン・ソード19)を実施した。

最近の訓練・演習としては、18(平成30)年6月から8月にかけて、米海軍主催の多国間共同訓練(リムパック2018)に参加し、対潜戦や水陸両用訓練、人道支援・災害救援(HA/DR)にかかる訓練などを実施した。同訓練では、陸自として初めて米陸軍及び海自と連携し、12式地対艦ミサイルシステムを用いた日米共同対艦戦闘訓練を実施した。

また、日米は様々な海域・空域において日米共同訓練を実施している。18(平成30)年10月には、海自護衛艦「きりさめ」と米空母「ロナルド・レーガン」などが、バシー海峡周辺から、沖縄東方を経て九州南方に至る海空域において、19(令和元)年6月には、インド太平洋方面派遣訓練の一環として、海自護衛艦「いずも」と米空母「ロナルド・レーガン」などが、南シナ海において日米共同訓練を実施した。

17(平成29)年以降、空自が日本海や東シナ海空域などにおいて米空軍戦略爆撃機B-52と各種訓練を実施している。また、19(令和元)年5月から6月にかけて、米国アラスカ州において米空軍の実施する演習(レッド・フラッグ・アラスカ)に参加し、防空戦闘訓練などを実施した。

米陸軍との実動訓練(オリエント・シールド)における作戦会議(18(平成30)年8~9月)

米陸軍との実動訓練(オリエント・シールド)における作戦会議
(18(平成30)年8~9月)

平成30年度日米共同統合演習(実動演習)における日米艦艇・航空機(18(平成30)年11月)

平成30年度日米共同統合演習(実動演習)における日米艦艇・航空機
(18(平成30)年11月)

共同訓練を行う空自F-15及び米空軍B-52(18(平成30)年7月)

共同訓練を行う空自F-15及び米空軍B-52(18(平成30)年7月)

これらの日米共同訓練は、いずれも自衛隊の戦術技量の向上及び米軍との連携強化を図ることを目的として日米同盟の抑止力・対処力を強化するため実施したものである。その結果として、日米の連携強化が図られ、絆を示すことは、わが国の安全保障環境が厳しさを増している中で、日米同盟全体の抑止力・対処力を一層強化し、地域の安定化に向けたわが国の意思と高い能力を示す効果があるものと考えている。

近年では、地方自治体が開催する防災訓練に在日米軍も参加し、関係機関との連携を深めている。

参照資料27(主な日米共同訓練の実績(平成30年度))