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第II部 わが国の安全保障・防衛政策

第3節 国家安全保障戦略の概要

1 国家安全保障会議

近年、わが国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しており、わが国が対応すべき安全保障上の課題は山積している。こうした中においては、内閣総理大臣を中心とする政治の強力なリーダーシップのもと、戦略的観点から国家安全保障にかかる政策を進めていく必要がある。そのため、わが国の安全保障に関する重要事項を審議する機関として、内閣に国家安全保障会議が設置されており、13(平成25)年12月の創設以来194回(19(令和元)年6月末時点)開催され、国家安全保障に関する外交・防衛政策の司令塔として機能している。「国家安全保障戦略」や「防衛計画の大綱」(防衛大綱)もこの国家安全保障会議における審議を経て決定されている。

国家安全保障会議を恒常的に支えるための事務局として、内閣官房に国家安全保障局が設置されている。同局は、国家安全保障に関する外交・防衛政策の基本方針や重要事項の企画・立案及び総合調整の機能も有しており、政策面で関わりの深い関係行政機関が、人材、情報両面においてサポートしている。防衛省も多くの自衛官を含む職員を同局に出向させており、防衛省から派遣された職員はそれぞれの専門性を活かしながら政策の企画・立案に携わっている。また、防衛省から国際軍事情勢などの情報が適時に提供されている。

このように国家安全保障政策に関する企画・立案機能が強化された結果、わが国の安全保障に関する制度的な整備が実現しているほか、安全保障上の新たな課題などにかかる政策の方向性が示されるようになっている。また、国家安全保障会議で議論された基本的な方針のもとで、個々の防衛政策が立案され、意思決定の迅速化が図られるなどしており、防衛省における政策立案、遂行機能の向上にも大きく資するものとなっている。

参照図表II-1-3-1(国家安全保障会議の体制)

図表II-1-3-1 国家安全保障会議の体制