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第II部 わが国の安全保障・防衛政策

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第5章 平和安全法制などの整備と施行後の自衛隊の活動状況など

第1節 平和安全法制の整備に関する経緯

1 法整備の背景

わが国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、今や脅威は容易に国境を越え、もはや、どの国も一国のみでは、自国の安全を守れない時代となった。

このような中、わが国の平和と安全を維持し、その存立を全うするとともに、国民の命を守るためには、まず、力強い外交を推進していくことが重要であるが、同時に、万が一の場合の備えも必要である。

具体的には、わが国自身の防衛力の適切な整備、維持、運用や、同盟国である米国をはじめ、関係国との協力関係を深めること、特に、わが国及びアジア太平洋地域の平和と安定のために、日米安全保障体制の実効性を一層高め、日米同盟の抑止力を向上させることにより、武力紛争を未然に回避し、わが国に脅威が及ぶことを防止することが必要不可欠である。

そのうえで、いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守り、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」のもと、国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献するためには、切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備する必要がある。

14(平成26)年5月、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」1からの報告書を受け、安倍内閣総理大臣が示した検討の進め方についての基本的方向性に基づき、与党における協議と政府における検討が進められ、同年7月、政府として、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする法案の整備のための基本方針を示す「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」の閣議決定を行った。

参照資料14(「閣議決定」の概要と法制整備)

1 安倍内閣総理大臣は13(平成25)年2月、第1次安倍内閣において開催されていた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を再開し、同懇談会は計7回の会合を経て、14(平成26)年5月、安倍内閣総理大臣に報告書を提出した。