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第II部 わが国の安全保障・防衛政策

3 計画の方針

新中期防は、新防衛大綱に従い、以下を基本方針として、防衛力の整備に努めることとしている。

1 領域横断作戦の実現に必要な能力の獲得・強化

領域横断作戦を実現するため、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域における能力を獲得・強化するとともに、新たな領域を含む全ての領域における能力を効果的に連接する指揮統制・情報通信能力の強化・防護を図る。また、海空領域における能力、スタンド・オフ防衛能力、総合ミサイル防空能力、機動・展開能力といった従来の領域における能力を強化する。さらに、後方分野も含めた防衛力の持続性・強靭性を強化する。

2 装備品取得の効率化・技術基盤の強化

装備品の取得にあたっては、能力の高い新たな装備品の導入と既存の装備品の延命や能力向上などを適切に組み合わせることにより、必要かつ十分な「質」及び「量」の防衛力を効率的に確保する。その際、プロジェクト管理の強化などによるライフサイクルコストの削減に努め、費用対効果の向上を図る。また、最先端技術などに対して選択と集中による重点的な投資を行うとともに、研究開発のプロセスの合理化などにより研究開発期間を大幅に短縮する。

3 人的基盤の強化

採用層の拡大や女性の活躍推進、予備自衛官などの活用を含む多様かつ優秀な人材の確保、生活・勤務環境の改善、働き方改革の推進、処遇の向上など、人的基盤の強化に関する各種施策を総合的に推進する。

4 日米同盟及び安全保障協力の強化

「日米防衛協力のための指針」の下、幅広い分野における各種の協力や協議を一層充実させるとともに、在日米軍の駐留をより円滑かつ効果的にするための取組などを積極的に推進する。

自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえ、多角的・多層的な安全保障協力を戦略的に推進するため、共同訓練・演習、防衛装備・技術協力、能力構築支援、軍種間交流を含む防衛協力・交流のための取組などを推進する。

5 効率化・合理化を徹底した防衛力整備

大規模な陸上兵力を動員した着上陸侵攻のような侵略事態への備えについては、徹底した効率化・合理化により、最小限の専門的知見や技能の維持・継承に必要な範囲に限り保持する。また、格段に厳しさを増す財政事情と国民生活に関わる他の予算の重要性などを勘案し、わが国の他の諸施策との調和を図りつつ、一層の効率化・合理化を徹底した防衛力整備に努める。