公文書管理法は、その適正かつ円滑な運用により、行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国の有する諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的としている。防衛省・自衛隊においても、公文書は国家公務員の所有物ではなく、健全な民主主義を支える国民共有の知的資源であり、行政文書の作成・保存は決して付随的業務ではなく、国家公務員の本質的な業務そのものである。
民主主義の根幹は、国民が正確な情報に接し、これに基づき国民が適切な判断を行い、主権を行使することにある。国民が正確な情報に接するうえで、政府が保有する行政文書は最も重要な資料であり、これを適切に管理し、国民からの情報公開請求に適切に応じることは、政府の重要な責務である。このことは、防衛省・自衛隊においても例外ではなく、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」によって防衛省・自衛隊に課せられた重要な責務である。
参照資料65(防衛省における情報公開の実績(平成30年度))
防衛省・自衛隊は、南スーダン日報問題及びイラク日報問題により、防衛省・自衛隊に対する国民の不信を招いたことを重く受け止めている。
南スーダン日報問題については、開示請求への不適切な対応を契機とし、現状を十分に確認せず、それらと整合を図るため、防衛省として不適切な対応や説明がなされていったことが原因であるとともに本件を拡大させる要因となった。またイラク日報問題については、命令や指示の伝達、その実施に伴う関係部局間の連絡調整、上司・上級部隊への報告といった基本動作が不十分であったり、又は欠落していたりしたことなどを背景に起こったものである。
こうした職員の意識や組織の文化を改革し、国民の信頼を回復するため、政府全体として公文書管理の適正化に向けて必要となる施策を取りまとめた「公文書管理の適正の確保のための取組について」(平成30年7月20日行政文書の管理の在り方等に関する閣僚会議決定)6も踏まえ、防衛省・自衛隊として再発防止策に全力で取り組んでいる。
参照図表IV-4-2-1(南スーダン「日報」問題に係る主な再発防止策について)
図表IV-4-2-2(イラクの「日報」等の問題に係る主な再発防止策について)