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第II部 わが国の安全保障・防衛政策

8 いわば防衛力そのものとしての防衛生産・技術基盤

防衛生産・技術基盤は、自国での装備品の開発・生産・調達を安定的に確保し、新しい戦い方に必要な先端技術を防衛装備品に取り込むために不可欠な基盤であることから、いわば防衛力そのものと位置づけられるものであり、その強化は必要不可欠である。そのため、新たな戦い方に必要な力強く持続可能な防衛産業の構築、リスク対処、販路拡大などに取り組んでいく。

1 防衛生産基盤の強化

わが国の防衛産業は、自衛隊の任務遂行にあたっての装備品の確保の面から、防衛省・自衛隊と共に国防を担うパートナーというべき重要な存在であり、高度な装備品を生産し、高い可動率を確保できる能力を維持・強化していく必要がある。防衛産業がこのような大きな役割を果たすために、サプライチェーン全体を含む基盤の強化を図っていく。その際、適正な利益確保のための新たな利益率算定方式の導入による事業の魅力化を図るとともに、既存のサプライチェーンの維持・強化と新規参入促進を推進する。

また、装備品の取得に際して、企業の予見可能性を図りつつ、国内基盤を維持・強化する観点を一層重視し、技術的、質的、時間的な向上を図るとともに、他に手段がない場合における国自身が製造施設などを保有する形態を検討していく。

さらに、国際水準を踏まえたサイバーセキュリティを含む産業保全を強化し、併せて機微技術管理の強化に取り組む。

2 防衛技術基盤の強化

新しい戦い方に必要な装備品を取得するためには、わが国が有する技術をいかに活用していくかが極めて重要である。そのため、防衛産業や非防衛産業の技術を早期装備化につなげる取組を積極的に推進する。

さらに、わが国主導の国際共同開発を推進するなど同盟国・同志国などとの協力・連携を進めていく。また、民生先端技術を積極活用するための枠組みを構築するほか、総合的な防衛体制強化のための府省横断的な仕組みを活用する。

3 防衛装備移転の推進

防衛装備品の海外への移転は、特にインド太平洋地域における平和と安定のために、力による一方的な現状変更を抑止して、わが国にとって望ましい安全保障環境の創出や、国際法に違反する侵略や武力の行使又は武力による威嚇を受けている国への支援などのための重要な政策的な手段となる。こうした観点から、防衛装備移転三原則や運用指針をはじめとする制度の見直しについて検討する。また、官民一体となった防衛装備移転の円滑化のため、基金を創設し企業支援を行う。