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第II部 わが国の安全保障・防衛政策

5 わが国の安全保障上の目標

わが国が国益を確保できるようにするためのわが国の安全保障上の目標は次のとおりである。

  • わが国の主権と独立を維持し、わが国が国内・外交に関する政策を自主的に決定できる国であり続け、わが国の領域、国民の生命・身体・財産を守る。そのために、わが国自身の能力と役割を強化し、同盟国である米国や同志国などと共に、わが国及びその周辺における有事、一方的な現状変更の試みなどの発生を抑止する。万が一、わが国に脅威が及ぶ場合も、これを阻止・排除し、かつ被害を最小化させつつ、わが国の国益を守るうえで有利な形で終結させる。
  • 安全保障政策の遂行を通じて、わが国の経済が成長できる国際環境を主体的に確保する。それにより、わが国の経済成長がわが国を取り巻く安全保障環境の改善を促すという、安全保障と経済成長の好循環を実現する。その際、わが国の経済構造の自律性、技術などの他国に対する優位性、ひいては不可欠性を確保する。
  • 国際社会の主要なアクターとして、同盟国・同志国などと連携し、国際関係における新たな均衡を、特にインド太平洋地域において実現する。それにより、特定の国家が一方的な現状変更を容易に行いうる状況となることを防ぎ、安定的で予見可能性が高く、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を強化する。
  • 国際経済や、気候変動、感染症などの地球規模課題への対応、国際的なルールの形成などの分野において、多国間の協力を進め、国際社会が共存共栄できる環境を実現する。