同盟の技術的優位性、相互運用性、即応性、さらには継戦能力を確保するため、先端技術に関する共同分析や共同研究、装備品の共同開発・生産、相互互換性の向上、各種ネットワークの共有及び強化、米国製装備品の国内における生産・整備能力の拡充、サプライチェーンの強化にかかる取組など、防衛装備・技術協力を一層強化することとしている。
わが国は、日米安保条約や「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定」に基づく相互協力の原則を踏まえ、技術基盤・産業基盤の維持に留意しつつ、米国との装備・技術面での協力を積極的に進めることとしている。
わが国は、日米の技術協力体制の進展と技術水準の向上といった状況を踏まえ、米国に対しては武器輸出三原則などによらず武器技術を供与することとし、1983年、「対米武器技術供与取極(とりきめ)」1を締結、2006年には、これに代わる「対米武器・武器技術供与取極」2を締結した。こうした枠組みのもと、弾道ミサイル防衛共同技術研究に関連する武器技術など20件の武器・武器技術の対米供与を決定している。加えて、2022年1月の日米「2+2」にて「共同研究、共同開発、共同生産、及び共同維持並びに試験及び評価に関する協力にかかる枠組みに関する交換公文」が締結された。わが国は、この交換公文に基づき、新興技術に関する米国との協力を前進させていくこととしている。また、日米両国は、日米装備・技術定期協議(S&TF:Systems and Technology Forum)などで協議を行い、合意された具体的なプロジェクトについて共同研究開発などを行っている。
さらに、わが国は、2016年6月、「米国との相互防衛調達取極」3を締結し、同月の日米防衛相会談において、両閣僚の間で、「相互の防衛調達に関する覚書(RDP(Reciprocal Defense Procurement Memorandum of Understanding) MOU)」4が署名された。これは、日米の防衛当局による装備品の調達に関して、相互主義に基づく措置(相手国企業への応札に必要な情報の提供、提出した企業情報の保全、相手国企業に対する参入規制の免除など)を促進するものである。なお、2021年5月、同取極及び覚書の有効期限が延長されている。
2023年1月の「2+2」及び日米防衛相会談では、①共同研究・開発の迅速化5及び②サプライチェーン協力の強化に係る枠組み6に署名し、③有償援助調達(FMS:Foreign Military Sales)の合理化を実現する枠組みの相当な進捗を確認している。
また、日米共通装備品(F-35戦闘機及びオスプレイ)の生産・維持整備については、IV部1章3節2項(米国との防衛装備・技術協力関係の深化)のとおりである。
参照資料30(日米共同研究・開発プロジェクト)、IV部1章3節2項(米国との防衛装備・技術協力関係の深化)
1 正式名称:日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基づくアメリカ合衆国に対する武器技術の供与に関する交換公文
2 正式名称:日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基づくアメリカ合衆国に対する武器及び武器技術の供与に関する交換公文
3 正式名称:相互の防衛調達に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の交換公文
4 正式名称:相互の防衛調達に関するアメリカ合衆国国防省と日本国防衛省との間の覚書(Memorandum of Understanding between the Department of Defense of the United States of America and the Ministry of Defense of Japan concerning Reciprocal Defense Procurement)
5 日本国防衛省とアメリカ合衆国国防省との間の研究、開発、試験及び評価プロジェクトに関する了解覚書
6 日本国防衛省とアメリカ合衆国国防省との間の防衛装備品等の供給の安定化に係る取決め