整備計画は防衛戦略に従い、以下を基本方針として、防衛力の整備、維持及び運用を効果的かつ効率的に行うこととしている。
まず、7つの重視分野として、わが国への侵攻そのものを抑止するために、遠距離から侵攻戦力を阻止・排除できるよう、「スタンド・オフ防衛能力」と「統合防空ミサイル防衛能力」を強化する。また、万が一、抑止が破れ、わが国への侵攻が生起した場合には、これらの能力に加え、有人アセット、さらに無人アセットを駆使するとともに、水中・海上・空中といった領域を横断して優越を獲得し、非対称的な優勢を確保できるようにするため、「無人アセット防衛能力」、「領域横断作戦能力」、「指揮統制・情報関連機能」を強化する。さらに、迅速かつ粘り強く活動し続けて、相手方の侵攻意図を断念させられるようにするため、「機動展開能力・国民保護」、「持続性・強靱性」を強化する。また、いわば防衛力そのものである防衛生産・技術基盤に加え、防衛力を支える人的基盤なども重視する。
次に、装備品の取得にあたっては、能力の高い新たな装備品の導入、既存の装備品の延命、能力向上などを適切に組み合わせ、必要十分な量と質の防衛力を確保する。その際、装備品のライフサイクルを通じたプロジェクト管理の強化などによるコスト削減に努め、費用対効果の向上を図る。また、自衛隊の現在および将来の戦い方に直結しうる分野のうち、特に政策的に緊急性・重要性が高い事業は、民生先端技術の活用などにより、着実に早期装備化を実現する。
さらに、採用の取組強化や予備自衛官などの活用、女性の活躍推進、多様かつ優秀な人材の有効な活用、生活・勤務環境の改善、人材の育成、処遇の向上などの人的基盤の強化に関する各種施策を総合的に推進する。
加えて、日米共同の統合的な抑止力を一層強化するため、領域横断作戦にかかる協力及び相互運用性の向上などを推進するとともに、日米共同での実効的な対処力を支える基盤を強化するため、情報保全及びサイバーセキュリティにかかる取組並びに防衛装備・技術協力を強化する。また、在日米軍の駐留を支えるための施策を着実に実施する。また、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえ、多角的・多層的な防衛協力・交流を積極的に推進するため、各種協定の制度的枠組みの整備に更に推進するとともに、共同訓練・演習、防衛装備・技術協力などを含む取組などを推進する。
最後に、防衛力の抜本的強化にあたっては、スクラップ・アンド・ビルドを徹底して、組織定員と装備の最適化を実施するとともに、効率的な調達などを進めて大幅なコスト縮減を実現してきたこれまでの努力を更に強化していく。あわせて、人口減少と少子高齢化を踏まえ、無人化・省人化・最適化を徹底していく。