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第IV部 共通基盤などの強化

5 新型コロナウイルス感染症対応

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた防衛省・自衛隊の取組として、自衛隊病院や防衛医科大学校病院においては、2020年2月1日から新型コロナウイルス感染症患者を受け入れている。これまでに自衛隊中央病院のほか札幌、大湊、三沢、仙台、舞鶴、入間、横須賀、富士、阪神、呉、福岡、佐世保、熊本、別府、那覇の各自衛隊地区病院及び防衛医科大学校病院において、4,821名の新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた(2023年3月31日17時時点)。特に自衛隊中央病院及び防衛医科大学校病院は、各々東京都、埼玉県から第一種感染症指定医療機関5(厚生労働大臣の定める基準に適合し、一類感染症6に対応できる陰圧室などを兼ね備えた病床を各々2床保有)の指定を受けており、患者数の増加に対応し患者の受入れを一般病床まで拡大した。

また、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を加速するため、自衛隊は、2021年5月~11月、東京及び大阪において自衛隊大規模接種センターを設置・運営し、延べ196万回接種した。オミクロン株の流行拡大に際しては、2022年1月に東京、同年2月には大阪に大規模接種会場を設置し、それぞれ2023年3月に運営を終了した。この間、延べ52万回のワクチン接種を実施した。

新型コロナウイルス感染症対応では、平素の訓練の経験が活かされた。自衛隊中央病院及び防衛医科大学校病院は、感染症対応にかかる訓練を定期的に実施しており、一類感染症感染者が発生した際の患者受入や関係機関との連携要領の確立を図っている。

また、自衛隊中央病院では2022年7月、各種事態対処能力の向上及び関係部外医療機関との連携強化を目的とし、首都直下地震を想定した大量傷者受入訓練を実施した。陸上総隊、陸自東部方面隊や陸自衛生学校のほか、日本DMAT、東京消防庁などの参加を得て、関係機関との連携強化や災害拠点病院に準じた医療機関としての能力向上を図っている。

5 第一種感染症指定医療機関とは、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者の入院を担当させる医療機関として都道府県知事が指定した病院をいう。(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条)

6 エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条)