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第IV部 共通基盤などの強化

2 安全管理への取組など

防衛省・自衛隊は、日頃の訓練にあたって安全確保に最大限留意するなど、平素から安全管理に一丸となって取り組んでいる。

2022年1月、空自小松基地(石川県)所属のF-15戦闘機1機が、夜間飛行訓練のため小松基地を離陸直後、日本海上において墜落し、隊員2名が殉職した。同年6月、事故調査の結果、事故の主な要因の一つに空間識失調(自らの空間識に関する感覚が実情と異なる状態)に陥った可能性がある。またレーダー操作などに意識が集中し、墜落直前まで機体の姿勢を認識していなかった可能性が認められた。本件事故を踏まえ、空間識失調に関する教育・訓練の強化など、再発防止を徹底するとともに、警報などで操縦者に異常姿勢を認知させる安全装置の適時適切な搭載など、ハード面でも飛行の安全性を高めていく。

2023年4月には、陸自高遊原分屯地(熊本県)所属のヘリコプターUH-60JA 1機(搭乗員10名)が航空偵察中、沖縄県宮古島北北西の洋上においてレーダーから航跡が消失する事故が発生した。搭乗していた隊員及び機体の捜索を行うとともに、事故原因の調査を進めている。

国民の生命や財産に被害を与えたり、隊員の生命を失うことなどにつながる各種の事故は、絶対に防がなくてはならない。防衛省・自衛隊としては、これらの事故について徹底的な原因究明を行った上で、今一度、隊員一人一人が安全管理にかかる認識を新たにし、防衛省・自衛隊全体として、国民の信頼を損なうことがないよう隊員への安全教育の徹底、装備品の確実な整備など、艦艇や航空機、車両などの運航・運行にあたっての安全確保に万全を期していく。