Contents

第IV部 共通基盤などの強化

2 日本政府内の動向

これまでも、わが国は、外為法に基づく対応の強化をはじめ、既存の法制の中で経済安全保障の推進に資する多岐にわたる取組を推進してきた。

2022年5月には、サプライチェーンの強靱化、基幹インフラの安全性・信頼性の確保、先端的な重要技術についての官民協力、特許出願の非公開に関する制度整備を行うことにより、安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進するための「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」が成立した。同年8月にはこの法律が順次施行1されているところ、2023年4月には、内閣府に政策統括官(経済安全保障担当)が設置され、法律に基づく事務を担当している。

また、2021年度に創設された「経済安全保障重要技術育成プログラム」(以下「K Program」)は、AI、量子などの先端技術を含む研究開発を対象に、内閣官房、内閣府そのほかの関係府省が一体となって、国のニーズを実現する研究開発事業を実施するもので、その研究成果は、民生利用のみならず安全保障を含む公的利用につなげていこうとするものである。2022年には、K Programの支援対象とする重要技術が定められた研究開発ビジョン(第一次)が決定され、このビジョンが定める研究開発課題の公募が順次行われている。このほか、セキュリティ・クリアランスを含むわが国の情報保全の強化に向け、2023年2月、有識者会議が立ち上げられ、検討が進められている。こうした施策を含め、経済安全保障に関する各種措置については、不断に検討・見直しを行い、特に各産業などが抱えるリスクを継続的に点検し、安全保障上の観点から政府一体となって必要な取組を行っていくこととしている。

1 2022年8月1日、総則、特定重要物資の安定的な供給の確保及び特定重要技術の開発支援に関する規定が施行されて以降、段階的に規定を施行している。