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<解説>駆け付け警護について

過去のPKO法に基づく自衛隊の活動において、例えば、1994(平成6)年、ザイール(当時)のゴマ市内の難民キャンプで活動していた日本のNGOが使用していた車両が難民により強奪された際に、このNGOから、難民救援のために現地に派遣されていた自衛隊に対して救援の要請がありました。

また、現在、自衛隊の活動の現場においても、平素より、国際機関やNGOの職員と情報交換や交流をはじめとする各種の連携を図っています。このような状況を踏まえれば、今後、自衛隊が危険に遭遇している活動関係者から救援の要請を受ける場合も十分あり得ます。

こうした考えに基づき盛り込まれた、いわゆる「駆け付け警護」は、PKOの文民職員やPKOに関わるNGO等が暴徒や難民に取り囲まれるといった危険が生じている状況等において、施設整備等を行う自衛隊の部隊が、現地の治安当局や国連PKO歩兵部隊等よりも現場近くに所在している場合などに、安全を確保しつつ対応できる範囲内で、緊急の要請に応じて応急的、一時的に警護するものです。

いわゆる「駆け付け警護」の実施にあたっては、参加5原則が満たされており、かつ、派遣先国及び紛争当事者の受入れ同意が、国連の活動及びわが国の業務が行われる期間を通じて安定的に維持されると認められることを前提に、「駆け付け警護」を行うことができることとしました。

これらが満たされていれば、「国家」又は「国家に準ずる組織」が敵対するものとして登場することはないので、仮に武器使用を行ったとしても、憲法で禁じられた「武力の行使」にはあたらず、憲法違反となることはありません。