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<VOICE>MRJ初飛行を成功させて

三菱航空機株式会社 MRJチーフテストパイロット 安村 佳之(やすむら よしゆき)氏

私は航空自衛隊に23年間パイロットとして在籍し、第8航空団や飛行開発実験団などで勤務してきました。その後、割愛制度により三菱重工に入社し、現在に至っています。

(MRJ:Mitsubishi Regional Jet)開発が本格化した08(平成20)年以降、操縦システムやコックピット設計などにテストパイロットとしての意見を反映させたり、シミュレータを使った操縦性確認試験などを担当してきました。昨年11月に初飛行してからは、飛行高度や速度を徐々に上げながら、機体の操縦性や、エンジン・電源系統などのシステムに関する飛行試験を進めています。

自衛官時代に諸先輩方からご指導いただいた、飛行機乗りとしての考え方や、航空機開発に関わる心構えなど、ジャンルは違えども今の民間機開発に大いにプラスとなっています。

今後は、このMRJを世界のユーザーに喜んでいただけるような航空機に仕上げたいと思っています。大きな期待と重責を背負って日々勤務されている現役自衛官の皆様も、健康で職務に邁進されることをお祈りいたします。

三菱航空機株式会社 MRJテストパイロット 戸田 和男(とだ かずお)氏

防衛省(海上自衛隊第51航空隊、海幕等)での35年間、パイロットとして勤務してまいりました。その間、海自テストパイロットコースの履修や海自航空機の開発経験があったことから、割愛制度により三菱重工に入社しました。入社後は、MRJ開発のための会議、操縦系統シミュレータ試験、MRJ飛行試験などを実施しています。

海上自衛隊で飛行していた時は、パイロット以外に10数人の搭乗員と一緒に警戒任務等に従事していました。MRJ飛行試験でも、パイロットに加え、飛行試験技術者(データ計測や取得したデータの評価をする技術者)や設計者、整備確認者、サプライヤーなど、多くのクルーと一緒に飛び、チームでミッションを実施するところは同じです。

クルーの協力なしではそのフライトの使命を果たせませんし、フライトに関与する全ての者が真摯に、そして各部との連携を密にしていかないと飛行安全も維持できません。当然ながら、飛行試験の目的も達成できません。調和を維持してチームを組んで一緒に仕事をしていく必要があります。

皆の夢を乗せたMRJを愛され信頼される旅客機に仕上げることが急務ですが、飛行試験は始まったばかりであり、チーム力を発揮し、官民一体となって課題を克服してまいりますので、今しばらく暖かく見守っていただきたいと思います。

初飛行を終えた安村チーフテストパイロット(右)と戸田テストパイロット(左)の画像

初飛行を終えた安村チーフテストパイロット(右)と
戸田テストパイロット(左)

MRJと随伴機T-4の画像

MRJと随伴機T-4