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<解説>ISILのサイバー空間の活用

ISILは、サイバー空間を活用して、外国人戦闘員の勧誘、資金造成、構成員間の連絡調整などを行ってきました。ISILの活動が拡大するのに伴い、欧米の情報機関は監視を強化し、オンライン上の情報を基にISILを摘発する事案が相次ぐようになりました。例えば、ISIL機関誌がオンライン上に掲載した写真から、有志連合がISILの部隊の位置を特定し、空爆を実施したと報じられています。

また、これまでISILは、フェイスブックやツイッターなどの既存のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を積極的に使用していましたが、最近では、通信時のセキュリティー性能を重視し、独自に開発したメッセージアプリの使用が確認されています。例えば、15(平成27)年11月のパリ同時多発テロでも、高度なセキュリティー性能を有する市販の家庭用テレビゲーム機がテロ実行犯の間で使用されたとの指摘もあります。

さらに、ISILはサイバー攻撃のためのプログラムを入手し、必要となる人材を育成・勧誘しているとも言われており、サイバー攻撃を呼びかける独自教本も発見されています。今後、発電所や空港など、国家の重要な基幹インフラも含めたサイバー攻撃による新たなテロが懸念されます。