一般に、憲法第9条第1項の「武力の行使」とは、わが国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいいます。これに対し、自衛隊法などにおける「武器の使用」とは、直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械などをその物の本来の用法に従って用いることをいいます。憲法第9条第1項の「武力の行使」は、「武器の使用」を含む実力の行使にかかる概念ですが、「武器の使用」が全て憲法第9条の禁ずる「武力の行使」に当たるとはいえません。
なお、憲法上「武力の行使」が許容されるのは、新三要件(166ページ参照)が満たされる場合においてのみです。