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<解説>徴兵制に関する指摘について

一般に、徴兵制度とは、国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度であって、軍隊を常設し、これに要する兵員を毎年徴集し、一定期間訓練して、新陳交代させ、戦時編制の要員として備えるものをいうと理解しています。

このような徴兵制度は、わが憲法の秩序の下では、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものではありません。わが国において徴兵制を採用することは、兵役といわれる役務の提供を義務として課されるという点にその本質があり、平時であると有事であるとを問わず、憲法第13条、第18条などの規定の趣旨からみて、許容されるものではないと考えます。

このような憲法解釈を変更する余地は全くなく、いかなる安全保障環境の変化があろうとも、徴兵制が、本人の意思に反して兵役に服する義務を強制的に負わせるもの、という本質が変わることはありません。したがって、今後とも徴兵制が合憲になる余地はありません。

また、自衛隊は、ハイテク装備で固めたプロ集団であり、隊員育成には長い時間と相当な労力がかかります。短期間で隊員が入れ替わる徴兵制では、精強な自衛隊は作れません。したがって、安全保障政策上も、徴兵制は必要ありません。長く徴兵制をとってきたドイツやフランスも21世紀に入ってから、徴兵制を止めており、今やG7諸国はいずれも徴兵制をとっていません。