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<VOICE>東日本大震災から5年

空自小牧基地(愛知県小牧市)
 航空救難団救難教育隊 空士長 小関 英(こせき すぐる)

東日本大震災が発生した11(平成23)年3月11日、宮城県の沿岸部にある造船所に勤務していた私は、いつものように製造中の船の上で作業をしていました。作業も一段落つき、そろそろ休憩に入ろうと周囲の同僚に声を掛けたその時、今まで経験したこともない大きな揺れを感じました。私は、とっさに船の上でしゃがみ、踏ん張ることだけで精一杯でした。揺れが収まって周囲を見渡した時、私の乗っている船が、海に投げ出されていることに気付きました。船は製造中であるため、すぐに沈んでしまう可能性があり、大きな不安に襲われました。しかし、船が海へと漂い始めた矢先、造船所に設置されているクレーンに接触しました。その瞬間、私はそのクレーンに飛び移り、寒さと恐怖に震えながら助けを待ちましたが、とうとうそこで一晩過ごすこととなりました。

誰もいない暗闇の中、「自分は、これまで親や他人に迷惑ばかり掛けて生きてきてしまった。もし生きて帰れたら、しっかり親孝行して、人の役に立つようなことをしたい!」と思ったことが、私が航空自衛隊への入隊を決意したきっかけです。

東日本大震災から5年が経過した今、私は救難員を目指し、小牧基地にある救難教育隊において、仲間達とともに厳しい訓練に励んでいます。航空救難団のモットーである「That others may live(他を生かすために)」を心に刻み、一人でも多くの命を救える、立派な救難員になれるよう頑張りたいと思います。

救難員を目指す筆者(中央)と仲間達の画像

救難員を目指す筆者(中央)と仲間達