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<解説>戦傷医療対処能力強化に向けた取組 ~防衛省の戦傷医療における輸血戦略~

戦傷医療における死亡の多くは、爆傷、銃創などによる失血死であり、これを防ぐためには輸血に使用する血液製剤の確保・運用が極めて重要です。他方、血液製剤および血液製剤を用いた医療行為などに関する施策については、医学的な有効性・安全性、倫理的な観点から部外有識者の専門的知見も取り入れる必要があることから、松本防衛大臣政務官のもとに「防衛省・自衛隊の戦傷医療における輸血に関する検討会」が設けられました。

有識者検討会では、地理的・人的・物的面で制約を受ける戦傷医療における輸血については、単純、安全、迅速な運用・管理が必要との共通認識のもと、戦傷医療という特殊な環境に鑑みれば、厚生労働省が定める国内の指針などによる輸血実施手順書に加え、防衛省・自衛隊として隊員の救命率向上のために、あらゆる手段を講じた輸血要領を目指すのは妥当であると評価を受けました。一方、それを実現させるためには、人材育成や省内の体制構築、安全管理・運用要領の作成などの様々な課題があることも指摘され、それを解決するための提言を頂きました。

有識者検討会の風景

有識者検討会の風景

防衛省・自衛隊としては、提言の内容を踏まえ、一人でも多くの隊員の命が救われるように、安全性が担保され、適切に運用することが可能な輸血戦略を策定していく方針です。