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<VOICE>乗艦協力プログラムに参加した防衛省内部部局職員の声

防衛政策局 インド太平洋地域参事官付 防衛事務官 渡邉 了英(わたなべ りょうえい)

「乗艦協力プログラム」は、防衛省が取り組んでいる国際交流の中でも、複数の国々からの参加者が、海自艦艇に乗艦し航海しつつ、衣食住を共にしながら各種プログラムに取り組むという点において、特にユニークな事業の一つといえます。今回私は、運営側として本事業に参加し、様々な経験をしました。

2023年度は、オーストラリア連邦周辺海域を航海する海自最大のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」艦上で、8日間に渡り、海洋に関する国際法セミナー、各種訓練の見学などを実施しましたが、特に印象に残ったプログラムは、各国参加者によるプレゼンテーションです。このプログラムでは、各国参加者が自国の海洋安全保障に関する課題について発表した後、乗艦する自衛官や他の参加者からの質問やコメントを通じて議論を深めるもので、各国参加者は、自国の取組や課題に関する理解を深めてもらうべく、情熱的に発表に取り組んでいました。私自身も各国参加者の発表資料の翻訳、会話の通訳に積極的に従事していましたが、私の翻訳などを通じて日本側参加者と各国参加者たちが打ち解けて交流が深まったことに、大変やりがいを感じました。

今回はASEAN加盟国に加え、初めて「太平洋島嶼国及び東ティモールへの乗艦協力プログラム」も実施し、同時開催した点において大きな意義があります。本事業を通じて、各国参加者による重要かつ実践的な知見の習得、海洋安全保障に関する知見の共有に貢献するとともに、各国参加者同士、そして日本の参加者との相互理解が深まり、友好関係の構築に寄与することができました。安全保障環境の安定には、地域における一体性の強化、人と人との相互理解が不可欠です。乗艦協力プログラムは、今後もインド太平洋地域の各国との「架け橋」になると考えます。

本事業は私自身に対する「能力構築支援」にもなりました。私は大学卒業後、2023年度新規採用の職員として防衛省内部部局に配属されました。入省1年目での初めての海外出張、国際交流事業への参加ということで、準備が大変でしたが、得がたい経験となりました。特に、各国参加者から直接各自の国の安全保障上の課題などを聞き、それらの課題の解決に向けた協力の取組が各国との重要な「架け橋」になることを信じ、自分自身が主体的に取り組もうと、強く決心しました。今回の乗艦協力プログラムで得た学びを忘れず、これからも安全保障の分野で貢献してまいりたいと思います。

他国の参加者と食事中の筆者(右から3人目)

他国の参加者と食事中の筆者(右から3人目)