自衛隊の統合運用に関し、自衛隊の総合的かつ有効な運営を図るため、防衛庁・自衛隊発足時の1954年7月に、陸・海・空幕長と統合幕僚会議議長で構成される統合幕僚会議が設立されました。これにより、自衛隊の運用に関しては、内部部局が政策的見地から、各幕僚長と統合幕僚会議が軍事専門的見地から、自衛隊に対する長官の指揮監督を補佐する体制をとってきました。しかし、軍事専門的見地からの長官の補佐は、陸・海・空幕長がそれぞれ個別に行い、必要に応じて統合幕僚会議が合議体として統合調整を行うという「各自衛隊ごとの運用を基本とする態勢」に基づくものでした。
その後、新たな脅威や多様な事態への対応が求められるなど、自衛隊を取り巻く環境の変化に自衛隊が迅速かつ効果的に対応するためには、平素から陸・海・空自を有機的かつ一体的に運用できる態勢が必要であるとの認識から、統幕の新設、陸・海・空幕から統幕への運用機能の移管や運用に必要な情報機能の情報本部への集約など、統合運用に必要な体制の整備を行い、2006年3月、自衛隊の運用の態勢を「統合運用を基本とする態勢」とした統合運用体制に移行しました。この統合運用体制への移行により、軍事専門的見地からの大臣補佐機能は一元化されましたが、自衛隊の部隊における統合運用体制については、特定の任務を行動する際に、自衛隊法第22条第1項または第2項に基づき、統合任務部隊を臨時に組織して対応する体制にとどまっており、平素から陸・海・空自を有機的かつ一体的に運用できるといった課題は残されたままでした。
このため、中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)において、「将来的な統合運用の在り方として、新たな領域に係る機能を一元的に運用する組織等の統合運用の在り方について検討の上、必要な措置を講ずるとともに、強化された統合幕僚監部の態勢を踏まえつつ、大臣の指揮命令を適切に執行するための平素からの統合的な体制の在り方について検討の上、結論を得る。」とされ、これらの検討を踏まえ、2022年12月に閣議決定された防衛力整備計画において、「各自衛隊の統合運用の実効性の強化に向けて、平素から有事まであらゆる段階においてシームレスに領域横断作戦を実現できる体制を構築するため、常設の統合司令部を創設する。」こととされ、統合作戦司令部が新設されることとなったのです。
初の統合幕僚会議(昭和29年)
初代統幕長 先﨑(まっさき)陸将(右)