わが国は2022年12月に策定した国家安全保障戦略において、必要とされる防衛力の内容を積み上げた上で、同盟国・同志国などとの連携を踏まえ、国際比較のための指標も考慮し、わが国自身の判断として、2027年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組をあわせ、そのための予算水準がGDP(2022年度実績見込み。約560兆円)の2%(11兆円程度)に達するよう所要の措置を講ずることとしました。
NATO加盟国をはじめ各国が、安全保障環境を維持するために、経済力に応じた相応の国防費を支出する姿勢を示しており、わが国としても、国際社会のなかで安全保障環境の変化を踏まえた防衛力の強化を図るうえで、GDP比で見ることは指標として一定の意味があると考え、2027年度における防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組をあわせた予算水準(安全保障に関連する経費)について、2%という目標を示すこととしました。
このうち、防衛力の抜本的強化のための経費として、防衛力整備計画対象経費については、2027年度において8.9兆円程度となることを見込んでいます。また、補完する取組の経費については、まず、歴代の政権で、これまでNATO定義を参考にしつつ、安全保障に関連する経費として仮に試算してきた際の項目をベースに試算すれば、SACO関係経費・米軍再編関係経費のうち地元負担軽減分に関する経費は0.2兆円程度、関係省庁所管分は海上保安庁予算やPKO関連経費などを念頭において0.9兆円程度となることを見込んでいます。また、総合的な防衛体制を強化するための取組(研究開発、公共インフラ整備、サイバー安全保障、わが国と同志国の抑止力向上などのための国際協力)に関する経費については、1兆円程度となることを見込んでいます。
安全保障に関連する経費のうち、関係省庁所管分については、具体的にどのような経費がわが国の防衛に資するかについては、様々な議論があると承知していますが、歴代の政権で、これまでNATO定義を参考にしつつ、安全保障に関連する経費として仮に試算してきた際の項目をベースに、例えば、恩給費、弾薬の処分等関連経費などの旧軍人・軍属等や旧軍兵器に関係するもの、国連PKO分担金などPKO関係経費、海上保安庁、内閣衛星センターなどの安全保障関連組織、防衛駐在官人件費などの自衛隊関係経費、基地交付金などの在日米軍の駐留に関する経費などを念頭に置いた試算となっています。
総合的な防衛体制を強化するための取組については、まず、研究開発については、防衛省の意見を踏まえた研究開発ニーズと関係省庁が有する技術シーズを合致させることにより、総合的な防衛体制の強化に資する科学技術の研究開発を推進します。
公共インフラ整備については、安全保障環境を踏まえた対応を実効的に行うため、自衛隊・海上保安庁のニーズに基づき、平素において必要な空港・港湾を円滑に利用できるよう、必要な整備などを行うものです。
サイバー安全保障については、能動的サイバー防御の導入を含め、政府全体として対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させることとしており、具体的な取組の内容については、内閣官房を中心に、政府として検討を進めているところです。
国際協力については、同志国の安全保障上の能力や抑止力の強化に貢献することを目的に、外務省が新たに創設した無償資金協力の枠組み(OSA: 政府安全保障能力強化支援)であり、防衛省・自衛隊としても、防衛装備移転などと連携すべく、緊密に連携していきます。