無人アセット(装備品)は、有人の装備品と比べて安価であることが多く、また、危険な環境下や長時間連続で運用することができる。さらに、AI(Artificial Intelligence)と組み合わせて運用することにより、無人アセットを、同時に、かつ、大量に運用できるほか、運用する要員の養成も容易であるといった特性がある。
こうした特性を踏まえ、これまで有人の装備品が担っていた業務の効率化や、無人アセットによって新たに可能となるオペレーションに無人アセットを活用することで、任務に従事する隊員の危険や負担をできる限り減らしつつ、陸上、水上、水中、空中において、非対称的な優勢を確保することができることから、無人アセットを幅広い任務に効果的に活用していく。
自衛隊の無人アセットについて、空自は常時継続的な監視能力の強化のためにRQ-4B(グローバルホーク)を運用しているほか、海自は、2024年11月、洋上監視能力の強化のために滞空型無人機MQ-9B(シーガーディアン)の導入を決定した。
参照1節2項1(わが国周辺における常時継続的な情報収集・警戒監視)
また、防衛省・自衛隊では、輸送用UAV(Unmanned Aerial Vehicle)や偵察用UAVなどの実証試験を進めている。
UAV(中域用)機能向上型(イメージ)
2024年度は、情報収集・警戒監視・偵察・ターゲティング(ISRT:Intelligence, Surveillance, Reconnaissance and Targeting)機能の強化のため、UAV(中域用)機能向上型11などを取得したほか、水上における無人アセットである無人水上航走体(USV:Unmanned Surface Vehicle)の運用に関する知識や情報を得て国産USVの開発促進を図るため、各国で運用の実績があるUSVを試験用の器材として取得した。
また、警戒監視機能や対艦ミサイルの発射などの機能を搭載することができ、有人艦艇を支援するステルス性を有した戦闘支援型多目的USVなどの研究や、島嶼部に上陸する際に岩礁なども通過することができる、補給品の輸送などを行う無人水陸両用車の開発を行っている。
さらに、英国・イタリアと共同開発する次期戦闘機については、2035年度までの開発完了を目指しているところ、次期戦闘機に随伴して飛行し、自律的に判断して次期戦闘機を支援する無人機の開発を計画している。2023年には、この無人機にも適用が見込まれるAI技術に関する共同研究を行うことに日米両政府が合意した。
2025年度予算では、水上艦艇の警戒監視・情報収集能力を向上させるための艦載型UAV(小型)を取得するほか、空中を遊弋(ゆうよく)して敵の車両などを撃破する小型攻撃用UAVを取得する。
防衛省・自衛隊は、無人アセットの取得や開発を促進するとともに、米国をはじめとする関係国と協力して無人アセット防衛能力を強化していく。
参照図表III-1-2-7(無人アセット(陸・海・空・水中)(イメージ))