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第III部 国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組

3 調達の効率化に向けた取組など

1 防衛装備品取得のさらなる効率化

防衛装備品の取得にあたっては、契約制度の見直しのほか、複数年度分の防衛装備品や部品を特定の年度にまとめて予算化・契約することで効率化を図るまとめ買いや、種類の異なる防衛装備品の構成品のうち共通する部分、或いは異なる組織間で共通する装備品などの予算をまとめて執行する取組を行っている。平成28年度予算では、艦対空誘導弾(SM-2)の調達や戦闘機(F-15)用整備器材の改修などを一括契約することにより、契約ベースで約465億円の経費の縮減を見込んでいる。

また、共用装備品の一括調達、一部構成品の共通化、装備品のファミリー化などにより、開発・取得・維持経費の低減を図っている。

2 効果的・効率的な維持・補給

防衛装備品の定期整備についても、安全性の確認を十分に行ったうえで間隔を延伸し、効率化を図っている。また、装備品の可動率の向上と長期的なコスト抑制を図る観点から、PBL(Performance Based Logistics)(成果保証契約)9の導入に取り組んでいる。平成28年度は、陸自特別輸送ヘリコプター(EC-225LP)及び海自練習ヘリコプター(TH-135)の機体維持や陸自戦闘ヘリコプター(AH-64D)の構成品についてPBL契約を締結することにより、契約ベースで約99億円10の経費の縮減を見込んでいる。

長期契約によるPBLを予定しているEC-225LP(特別輸送ヘリ)の画像

長期契約によるPBLを予定しているEC-225LP(特別輸送ヘリ)

3 公正性・透明性の向上のための取組

防衛省では、装備品などの取得にかかる公正性・透明性の向上を図るため、契約の適正化のための措置やチェック機能の強化のための措置を講じている。

まず、政府全体の取組である「公共調達の適正化」として、防衛省においても総合評価落札方式11の導入拡大、入札手続の効率化を継続して実施している。これに加え、12(同24)年に相次いで発生した防衛関連企業による過大請求事案や製品試験結果の改ざん事案などの反省を踏まえた再発防止策として、制度調査の強化や違約金の見直し、監督検査の実効性の確保などを着実に実施しており、これらを通じて不祥事の再発防止、公正性・透明性の向上及び契約の適正化に取り組んでいる。

また、防衛装備庁においては、より強力なチェックを行うため、監察・監査部門を設置して内部監察などを行うとともに、防衛監察本部による監察や外部有識者からなる防衛調達審議会における審議などにより、同庁の内外から重層的なチェックを実施している。さらに教育部門を充実させ、職員に対する法令遵守にかかる教育を徹底することにより、コンプライアンス意識の向上にも努めている。

参照図表III-3-2-2(防衛装備品調達に関する監察・監査機能)

図表III-3-2-2 防衛装備品調達に関する監察・監査機能

わが国は、防衛生産・技術基盤の維持・強化及び平和貢献・国際協力の推進に資するよう、防衛装備移転三原則に基づき、諸外国との防衛装備・技術協力を推進している。引き続き、相手国のニーズ等の情報収集の強化、装備品の維持整備への支援も含めた協力、官民一体の連携体制の強化などを通じて効果的な防衛装備・技術協力を実現していく。

9 可動率や安定在庫の確保といった装備品のパフォーマンスの達成に対して対価を支払う契約方式であり、欧米諸国で装備品の維持・整備に適用されて効果を上げている。

10 約99億円には、EC-225LP及びTH-135の機体維持にかかる長期契約による縮減効果も含む。

11 技術的要素の評価などを行うことが適当であるものについて、価格のみによる自動落札方式とは異なり、価格以外の要素と価格とを総合的に評価して落札者を決定する方式