わが国は、防衛生産・技術基盤の維持・強化及び平和貢献・国際協力の推進に資するよう、防衛装備移転三原則に基づき、諸外国との防衛装備・技術協力を推進している。引き続き、相手国のニーズ等の情報収集の強化、装備品の維持整備への支援も含めた協力、官民一体の連携体制の強化などを通じて効果的な防衛装備・技術協力を実現していく。
わが国は、これまで武器などの輸出については、武器輸出三原則などによって慎重に対処してきた。他方、弾道ミサイル防衛(BMD:Ballistic Missile Defense)に関する日米共同開発などへの国内企業の参画などについては、同原則などによらないこととする措置を個別にとってきた。
こうした中、11(平成23)年12月、「防衛装備品などの海外移転に関する基準」についての内閣官房長官談話により、①平和貢献・国際協力に伴う案件と②わが国の安全保障に資する防衛装備品などの国際共同開発・生産に関する案件については、厳格な管理1を前提に、武器輸出三原則などの例外化措置が講じられた。
14(同26)年4月には、「国家安全保障戦略」に基づき、防衛装備の海外移転に関して武器輸出三原則などに代わる新たな原則として、「防衛装備移転三原則」2及びその運用指針を策定し、防衛装備の海外移転にかかる具体的な基準や手続、歯止めについて明確化した。
移転を禁止する場合を明確化し、①わが国が締結した条約その他の国際約束に基づく義務に違反する場合、②国連安保理の決議に基づく義務に違反する場合、又は③紛争当事国への移転となる場合とした。
参照図表III-3-3-1(第一原則「移転を禁止する場合」)
移転を認め得る場合を、①平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合、又は②わが国の安全保障に資する場合に限定し、透明性を確保しつつ、仕向先及び最終需要者の適切性や安全保障上の懸念の程度を厳格に審査することとした。また、重要な案件については国家安全保障会議で審議し、併せて情報の公開を図ることとした。
参照図表III-3-3-2(第二原則「移転を認める場合の限定」)
防衛装備の海外移転に際しては、適正管理が確保される場合に限定し、原則として目的外使用及び第三国移転についてわが国の事前同意を相手国政府に義務付けることとした。ただし、平和貢献・国際協力の積極的な推進のため適切と判断される場合、部品などを融通し合う国際的なシステムに参加する場合、部品などをライセンス元に納入する場合などにおいては、仕向先の管理体制の確認をもって適正な管理を確保することも可能とした。