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第III部 国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組

防衛白書トップ > 第III部 国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組 > 第3章 防衛装備・技術に関する諸施策 > 第2節 プロジェクト管理などへの取組 > 1 ライフサイクルを通じたプロジェクト管理

第2節 プロジェクト管理などへの取組

1 ライフサイクルを通じたプロジェクト管理

1 重点的なプロジェクト管理による最適な防衛装備品の取得

防衛装備品の高性能化・複雑化により、防衛装備品のライフサイクル全体(構想、研究開発、量産取得、維持整備など)を通じた取得コストは増加傾向にあり、必要な数を適切な時期に取得するには、ライフサイクル全体を通じた取得プロセスの効率化が極めて重要となる。

このため、重要な防衛装備品について、ライフサイクル全体を通じてコストやスケジュールを管理し、運用ニーズを踏まえた最適な取得を実現するため、15(平成27)年10月に発足した防衛装備庁にプロジェクト管理部を設置し、同年11月にプロジェクト管理重点対象装備品として12の装備品1を選定したところである。

プロジェクト管理重点対象装備品については、プロジェクト管理を行う責任者としてプロジェクトマネージャー(PM:Project Manager)を指定するとともに、関連部署の職員で構成される統合プロジェクトチームを設置し管理することで、戦略的に最適な防衛装備品の取得の実現を図っている。

C-2(プロジェクト管理重点対象装備品)の画像

C-2(プロジェクト管理重点対象装備品)

2 統合的な見地による効果的・効率的な取得

統合機動防衛力の構築のためには、統合的見地を踏まえた防衛装備品の取得が必要となる。

これまでも、統合的見地を踏まえ、①装備品機能の統合化、②共用装備品の一括調達、一部構成品の共通化、装備品のファミリー化など2により、開発・取得・維持経費の低減を図ってきたところである。

今後は、防衛装備品の構想段階からプロジェクト管理の視点を入れ、情報の連接及び機能の統合化、構成品の共通化、装備品のファミリー化などによる取得コストの低減について検討し、ライフサイクル全体を通じた効果的・効率的な取得を推進していく。

3 プロジェクト管理の強化のための取組

プロジェクト管理を強化するため、以下の取組を行っている。

○ プロジェクト管理に関する制度の整備のため、外部の監査法人などの知見を活用し、プロジェクト管理業務の公正性の向上について検討

○ ライフサイクルコストの見積り精度の向上のため、コスト情報のデータベース化や統計的な分析によるコスト推定評価手法の改善を検討

○ プロジェクト管理にかかる人材を育成するため、海外や民間におけるプロジェクト管理手法の研修などを定期的に実施

1 SM-3ブロックIIA、中SAM(改)、グローバルホーク(滞空型無人機)、AAV7(水陸両用車)、新艦艇、陸自UH-X、V-22(ティルト・ローター機)、SH-60K能力向上型、P-1、C-2、F-35A、将来戦闘機(F-2戦闘機の後継として検討中)

2 「共用装備品の一括調達」は陸・海・空自における小火器・車両・化学器材、「一部構成品の共通化」は陸自と空自で使用する短距離用の地対空誘導弾、「装備品のファミリー化」は陸・海・空自で使用する対艦誘導弾、などがある。