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第III部 国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組

2 調達の効率化に向けた取組など

1 装備品取得のさらなる効率化

防衛省では、取得改革を推進するため、07(平成19)年10月から「総合取得改革推進プロジェクトチーム」会合を、10(同22)年からは有識者による「契約制度研究会」を継続的に開催し、平成27年度予算に約1,530億円の節減を見込んだ調達効率化策を反映させるなど、調達改革を強力に推進するための検討を進めている。

具体的には、複数年度分の防衛装備品や部品を特定の年度にまとめて予算化・契約することで効率化を図るまとめ買いや、種類の異なる装備品の構成品のうち共通する部分、あるいは異なる組織間で共通する装備品などの予算をまとめて執行する取組を行っている。たとえば、平成27年度予算では、イージス・システムなどをまとめ買いすることにより、契約ベースで約350億円の節減を行うこととしている。

また、①共用装備品の調達、②一部構成品の共通化、③装備品のファミリー化など5により、開発・取得・維持経費の低減を図っている。

2 効果的・効率的な維持・補給

防衛省においては、防衛装備品の定期整備について、安全性の確認を十分に行ったうえで間隔を延伸し、効率化を図っている。平成27年度は、P-3C哨戒機の機体の定期整備の間隔を48か月から60か月に延伸するなど、コスト節減を実現した。また、装備品の可動率の向上と長期的なコスト抑制を図る観点から、PBL(Performance Based Logistics)6(成果保証契約)の導入に取り組んでいる。平成27年度は、海自MCH-101掃海・輸送機の機体維持について契約を締結することとしている。

MCH-101掃海・輸送機の画像

新たにPBLを導入予定のMCH-101掃海・輸送機

3 公正性・透明性の向上のための取組

防衛省では、装備品などの取得にかかわる公正性・透明性の向上を目指し、契約の適正化のための措置やチェック機能の強化の観点から、これまで様々な施策を講じてきた。

昨今では、政府全体の公共調達の適正化の一環として、防衛省においても、総合評価落札方式7の導入拡大、複数年度契約の拡大、入札手続の効率化、随意契約の見直しなどに取り組んでいる。こうした施策とあわせて、装備品の調達を行っている装備施設本部に監査を担当する副本部長を、内部部局に監査課を設置し、チェック機能の強化に努めている。

しかしながら、三菱電機およびその子会社・関係会社4社ならびに住友重機械工業およびその子会社8による過大請求が明らかとなったことから、防衛省では12(同24)年12月、制度調査の強化、違約金の見直しおよび指名停止措置要領の整備などを柱とする再発防止策を公表した。

この再発防止策は、防衛生産の担い手の閉鎖性を軽減し、透明性を高める措置を充実強化するとともに、企業が負担するコストとリスクをより中立的に評価する方策を検討したものであり、13(同25)年3月以降、防衛大臣政務官を長とする過大請求事案調査・検討委員会において、これらの方策を具体的に実施するための検討を進め、一部については同年4月から施行している。

さらに、同年6月、住友重機械工業から装備施設本部に対し、「12.7mm重機関銃」の製品試験結果の改ざんなどを行い製品を納入していた旨の報告があった。防衛省では、住友重機械工業に対し5か月間の指名停止措置などを行うとともに再発防止に取り組んでいる。

5 それぞれの例として、①陸・海・空自における小火器、車両、化学器材、②陸自と空自で使用する短距離用の地対空誘導弾、③陸・海・空自で使用する対艦誘導弾などが挙げられる。

6 可動率や安定在庫の確保といった装備品のパフォーマンスの達成に対して対価を支払う契約方式であり、欧米諸国で装備品の維持・整備に適用されて効果を上げている。

7 技術的要素の評価などを行うことが適当であるものについて、価格のみによる自動落札方式とは異なり、価格以外の要素と価格とを総合的に評価して落札者を決定する方式

8 三菱電機、三菱スペース・ソフトウエア、三菱プレシジョン、三菱電機特機システム、太洋無線、住友重機械工業および住重特機サービス