Contents

第I部 わが国を取り巻く安全保障環境

5 地域内の協力

ASEAN各国は、地域の多国間安全保障の枠組みとしてもASEANの活用を図っている。安全保障問題に関する対話の場であるASEAN地域フォーラム(ARF:ASEAN Regional Forum)やASEAN国防相会議(ADMM:ASEAN Defense Ministers’Meeting)などを開催しているほか、11(平成23)年7月には、ASEAN初の軍事演習であるASEAN軍事人道支援・災害救助机上演習(AHR:ASEAN Militaries’Humanitarian Assistance and Disaster Relief Table-Top Exercise)を行うなど、地域の安全保障環境の向上や信頼醸成に努めている。また、ASEAN各国は、15(同27)年末までの共同体46設立を目指しており、同年1月に開催されたASEAN非公式外相会議および同年4月に開催されたASEAN首脳会議においては、共同体の年内設立に向けた、残りの作業を完了するための各国による努力を要請することに加え、共同体設立後の長期計画を同年11月開催予定のASEAN首脳会議で採択することが決定されるなど、実現に向けた取組が進められている。

ASEANは域外国との関係拡大も重視しており、10(同22)年、ADMMにわが国を含む域外8か国を加えた拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)47が発足し、13(同25)年8月に第2回会議がブルネイで開催された。このほか、同年6月に初の実動演習であるADMMプラス人道支援・災害救援/防衛医学演習を、同年9月には初の対テロ演習および海上安全保障実動訓練を実施した。11(同23)年11月には、ASEANおよび域外6か国からなる東アジア首脳会議(EAS:East Asia Summit)に、新たに米国およびロシアが正式に参加した。15(同27)年5月には、4回目となるARF災害救援実動演習がマレーシアにおいて実施された48

参照I部2章3節3((8)東南アジアなど)

46 97(平成9)年の第2回ASEAN非公式首脳会議において設立が提案されたもので、「政治・安全保障共同体」「経済共同体」「社会・文化共同体」の3つの共同体形成を通じた域内統合を目指している。

47 ADMMプラスの枠組みのほか、米国・ASEAN、中国・ASEANおよび日本・ASEAN間で、国防相会談が行われており、14(平成26)年4月には、米ASEAN国防相会談が初めて米国において開催された。

48 第4回ASEAN地域フォーラム災害救援実動演習(ARF-DiREx2015)は、15(平成27)年5月25日から28日まで、マレーシアのアロースターにおいて実施され、我が国のほか、共催国のマレーシアおよび中国をはじめ、米国、豪州およびASEAN諸国を含むARFメンバー国から計2,000人以上が参加した。