第IV部 防衛力の能力発揮のための基盤
3 情報発信や情報公開など
1 様々な広報活動
わが国の平和と安全を守る防衛省・自衛隊の活動は、国民一人ひとりの理解と支持があって初めて成り立つものである。このため、分かりやすい広報活動を積極的に行い、国民の信頼と協力を得ていくことが重要である。
防衛省・自衛隊の活動の場は、南スーダン共和国における国際平和協力活動、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動、東日本大震災における災害派遣など、国内外に広がっており、自衛隊に対する国民からの期待と評価が高まっている。
この点、内閣府の世論調査（12（平成24）年1月調査）では、自衛隊に対する印象について、「良い印象を持っている」7と回答した者が、91.7％と調査開始以来最高となった。また、東日本大震災における自衛隊の災害派遣を「評価する」8と回答した者が97.7％、自衛隊の海外での活動を「評価する」9と回答した者が87.4％となっている。
こうした防衛省・自衛隊の活動の活発化や国民の自衛隊に対する高い期待と支持を踏まえ、今後も様々な広報活動を通じて自衛隊の実態がより理解されるよう努めていく。
車座ふるさとトーク（鹿児島県薩摩川内市）において地域住民と意見交換する木原防衛大臣政務官
平成25年度広報担当者会議で挨拶する若宮防衛大臣政務官
（1）ホームページ、パンフレットなど
防衛省・自衛隊は、インターネットによる情報提供・意見聴取、広報ビデオの配信、各自衛隊の広報コマーシャル・フィルムの放映を行うなど、各種メディアを活用した広報に取り組んでいる。FacebookやTwitterといったソーシャルメディアを活用した情報発信を強化しているとともに、防衛省ホームページの一部をスマートフォンでの閲覧用に最適化して利用者に提供している。
また、防衛省の政策や自衛隊の活動などを説明したパンフレット、広報ビデオおよび青少年を対象とした『まんがで読む防衛白書』などの作成、報道機関への取材協力、広報誌『MAMOR（マモル）』への編集協力など、自衛隊や防衛に関する正確な情報を、より広く適時に国民各層へ提供するよう努めている。
さらに、自衛隊の海外における活動の活発化にともない、国際社会の防衛省・自衛隊への関心が高まっている状況も踏まえ、英文広報パンフレット『Japan Defense Focus』を毎月発行し、在日の各国大使館や在外公館などへの配布を通じて、諸外国の人々にも防衛省・自衛隊の取組について理解を得るための努力を行っている。このほか、海外メディアの記者会見への参加といった取材機会の提供、防衛省ホームページの英文サイトの充実、英語版防衛白書および各種政策パンフレット・広報ビデオの英語版の作成など、国際社会に向けて情報を発信するための取組も積極的に行っている。
（2）イベント・広報施設など
防衛省・自衛隊は、自衛隊の現状を広く国民に紹介する活動を行っている。この活動には、毎年富士山麓で行われる陸自の富士総合火力演習や、各地での海自の艦艇による体験航海、空自の基地航空祭での航空機による展示飛行や体験搭乗などがある。また、全国に所在する駐屯地や基地などでは、部隊の創立記念日などに、装備品の展示や部隊見学、音楽隊によるコンサートなどを行うとともに、地元の協力を得て、市中での徒歩、車両によるパレードを行っている例もある。さらに、自衛隊記念日記念行事の一環として、自衛隊音楽まつりを日本武道館で毎年開催しており、13（同25）年は、のべ約3万5,000人が来場した。
日本武道館において行われた平成25年度自衛隊音楽まつりの様子
また、陸・海・空自が交互に主担当となって観閲式、観艦式、航空観閲式を行い、自衛隊の装備や訓練の成果を国民に紹介しており、13（同25）年は陸自朝霞訓練場において観閲式を行い、総合予行を含め約33,000人が来場した。なお、14（同26）年は、空自創設60周年記念式典を5月に実施したほか、百里基地において防衛省・自衛隊60周年記念航空観閲式を10月下旬に計画している。
平成25年度自衛隊観閲式の様子
空自創設60周年記念式典の様子（14（平成26）年5月25日）
空自創設60周年を記念するポスター
さらに、広報施設の公開にも積極的に取り組んでおり、市ヶ谷地区内の施設を誰でも見学できるよう、平日の午前・午後の1日2回、ツアー形式により公開している。14（同26）年6月末現在までに約34万人の見学者が訪れている。
このほか、映画撮影協力（「救いたい」、「絆 再びの空へ」、「THE NEXT GENERATION -PATLABOR-」および「国難 3.11 東日本大震災」）を実施している。
自衛隊が撮影協力を行った作品など
さらに、各自衛隊は、大規模広報施設を設けているほか、全国の駐屯地や基地の広報館や史料館も公開している。
また、近年、東日本大震災などの被災地の中学校や高等学校の生徒が、災害派遣に対する謝意を伝えるため、防衛省を訪問することがある。防衛省は、このような機会をとらえ、市ヶ谷記念館に案内するなど、青少年層の防衛問題に関する理解促進に努めている。
（3）隊内生活体験
防衛省・自衛隊は、自衛隊生活体験ツアー10や、民間企業などからの依頼を受けて隊内生活体験11を行っている。これらは、自衛隊の駐屯地や基地に2～3日間宿泊するなど、隊員と同様の日課で自衛隊の生活や訓練を体験するとともに、隊員とじかに接することにより、自衛隊に対する理解を一層深めていただくものである。平成25年度は各種自衛隊生活体験ツアーに約170人が参加した。企業などからは約1,300件の隊内生活体験の依頼を受け、約27,000人が隊内生活を体験した。
13（平成25）年8月に空自三沢基地において行われた大学生等サマーツアーの様子
2 情報公開などへの取組
（1）情報公開制度・個人情報保護制度の適切な運用
防衛省では、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」に基づき、保有する行政文書の開示を行っている。また、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」に基づき、個人の権利を保護するため、保有する個人情報の安全確保などの措置を講ずるとともに、保有個人情報の開示などを行っている。
参照資料75（防衛省における情報公開の実績（平成25年度））、巻末資料（防衛省の情報公開・個人情報保護窓口）
（2）公益通報者保護制度の適切な運用
防衛省では、内部の職員などからの公益通報を処理する制度と外部の労働者からの公益通報を処理する制度を整備し、それぞれの窓口を設置して公益通報の処理および公益通報者の保護などを行っている。
（3）政策評価への取組
防衛省は、政策評価制度に基づき各種施策について評価を行っており、平成25年度には「日豪・日米豪の防衛協力に関する体制強化」をはじめ24件の政策評価を行った。
