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平成26年版防衛白書の刊行に寄せて

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今年、防衛省・自衛隊は、発足から60年を迎えました。昨年末に国家安全保障会議が創設され、わが国として初めての国家安全保障戦略とこれに基づいた新たな防衛計画の大綱(防衛大綱)と中期防衛力整備計画(中期防)が決定されました。さらに、国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜くとともに、国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献するために、国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備のための基本方針を本年7月に閣議決定したところです。発足60年の節目の年に、防衛省は新たな防衛力のあり方を実現するための第一歩を踏み出すことになります。

防衛省・自衛隊の60年間の歴史は、わが国の平和国家としての歩みそのものにほかなりません。わが国は、国際協調主義に基づく積極的平和主義のもと、これまでの平和国家としての歩みを堅持しつつ、わが国の安全と地域・国際社会の平和と安定を維持していきます。

わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しいものになってきている中で、国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための自衛隊の活動は、ますます重要になっています。私は防衛大臣就任以来、北は北海道から南は沖縄まで、できる限り多くの現場を訪問することを心がけてきました。また、昨年12月にはフィリピン、本年5月にはわが国の防衛大臣として初めてジブチと南スーダンを訪問し、国際緊急援助活動、海賊対処行動およびPKO活動に従事する隊員を激励してきました。自衛隊員は、過酷な環境下であっても規律正しく高い士気をもって真摯に任務に励んでいます。

この60年間で防衛省・自衛隊を取り巻く国内外の環境は大きく変わりましたが、その中で変わらないものもあります。国の防衛には、国民の理解が不可欠であるということです。まさにこの信念のもと、1970(昭和45)年に中曽根康弘防衛庁長官(当時)が防衛白書を創刊されました。1976(昭和51)年以降、防衛白書は毎年刊行され、今回で刊行40回の節目を迎えました。白書を毎年刊行して防衛政策を説明している国は、他にほとんど例がありません。防衛白書の刊行を積み重ねてきたことで、わが国の防衛政策の透明性は国際的にも高い評価を得ています。現状に満足せず、国民と世界中の国々からわが国の防衛政策をより良くご理解いただくために、今後も質の高い防衛白書を作成していきたいと考えています。

今回の防衛白書では、巻頭に特集記事を設け、防衛白書と防衛省・自衛隊のこれまでの歩みを振り返ることにしました。また、新防衛大綱で構築することとした「統合機動防衛力」について、分かりやすく説明するとともに、安全保障法制の検討などの新しいトピックについても記述しています。さらに、自衛隊をより身近に感じていただけるよう工夫しています。今回の防衛白書が一人でも多くの方々に読まれることを願っています。

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フィリピンのレイテ島タクロバンを視察する小野寺防衛大臣