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第IV部 防衛力の能力発揮のための基盤

2 在日米軍の駐留にかかる地元負担軽減に向けた取組

1 駐留軍用地跡地利用への取組

沖縄県における駐留軍用地の返還については、「沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法」において、返還が合意された駐留軍用地に対する各種の措置を規定している。主に防衛省においては、①返還が合意された駐留軍用地への県、市町村による調査などのための立入りにかかるあっせん、②駐留軍用地跡地の所有者に引き渡す前に、当該土地の区域の全部について、駐留軍の行為に起因するものに限らず、土壌汚染・不発弾の除去などの跡地を利用するうえでの支障除去措置の実施、③跡地の所有者の負担の軽減を図り土地の利用の推進に資するための給付金の支給を行っている。

防衛省としては、今後とも、関係府省や県、市町村と連携・協力し、跡地利用の有効かつ適切な利用の推進に取り組むこととしている。

武田防衛副大臣の画像

キャンプ瑞慶覧(ずけらん)(西普天間住宅地区)の跡地利用に際し境界杭を設置する武田防衛副大臣(中央左)

2 在日米軍施設・区域がもたらす影響の緩和に関する施策
(1)在日米軍施設・区域をめぐる環境保全への取組

00(平成12)年9月の「2+2」会合において、両国政府は、環境保護が重要であるとの認識のもと、在日米軍施設・区域の周辺住民、米軍関係者やその家族などの健康と安全の確保を共通の目的とすることに合意し、「環境原則に関する共同発表」3を行った。この発表のフォローアップのため、日米協議が強化され、具体的には日本環境管理基準4(JEGS:Japan Environmental Governing Standards)の定期的見直しの際の協力の強化、環境に関する情報交換、環境汚染への対応などにかかわる協議について、関係省庁が連携して取り組んでいる。

また、10(同22)年5月の「2+2」会合では、「緑の同盟」のアプローチをとる可能性について議論がなされ、日本国内において整備中の米国の基地に再生可能エネルギーの技術を導入する方法を、在日米軍駐留経費負担(HNS:Host Nation Support)の一構成要素とすることを含め検討された。その結果は、在日米軍駐留経費負担の包括的見直しに反映されている。

さらに、13(同25)年12月25日には、日米両政府が「在日米軍施設・区域における環境の管理に係る枠組みに関する共同発表」を公表した。両政府は、在日米軍施設・区域に関連する環境の管理に一層取り組むための枠組みの作成に向けた協議を開始し、日米地位協定を補足する協定の作成を含めて協議を行っている。

普天間飛行場代替施設建設事業の実施に関しては、環境への影響をできる限り回避または軽減するため、ウミガメ類の上陸・産卵に適した環境条件の整備の検討および実施、サンゴ類および海草類の移植、航空機による定期的なジュゴンの生息確認および埋立土砂の調達に本事業の有無にかかわらず発生する岩ズリ5の使用など事業者として最大限の環境保全措置などを講ずるほか、事後調査などを充実することとした。なお、これら環境保全の取組については、沖縄県知事からの埋立承認時に付された留意事項を踏まえ、環境監視等委員会を設置し、専門家などの指導・助言を得ながら行うとともに、必要に応じて環境保全措置の改善や調査範囲の拡大を図るなど環境の保全に万全を期すこととした。

(2)その他の措置

わが国は、在日米軍施設・区域の周辺地域の生活環境などの整備のための措置を行っている。また、市町村に対し、固定資産税の代替的性格を有する基地交付金6などを交付している。

参照IV部2章2節1項4(防衛施設と周辺地域との調和を図るための施策)

さらに、在日米軍施設・区域の周辺地域において、米軍人などによる事件・事故が地域や住民に影響を与えており、政府は、米軍に対し、軍人などの教育や綱紀粛正といった再発防止策について実効性のある措置を講ずるよう求めている。また、こうした再発防止策に協力するとともに、事件・事故による被害に対し迅速で適切な補償が行われるよう措置している。

12(同24)年10月に沖縄で起きた2名の米海軍軍人による集団強姦致傷事件を受け、米側は、勤務時間外行動の指針(リバティ制度)の検証などを行い、13(同25)年2月には、新たなリバティ制度を導入した。米軍人などによる事件・事故の防止については、関係者による不断の取組が重要であり、防衛省としても、地元や関係機関などの意見を踏まえつつ、引き続き、米軍人による事件、事故の防止に努力していく。

3 ①環境管理基準、②情報交換と立入り、③環境汚染への対応、④環境に関する協議の四項目からなる。

4 日本環境管理基準とは、在日米軍の部隊と施設が人の健康と自然環境を保護することを保証する目的で在日米軍により作成された環境基準であり、施設・区域内の環境汚染物質の取り扱い、保管方法などを定めたもの

5 採石場において砕石生産を行う場合などに生じる副産物

6 総務省が交付する。