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第IV部 防衛力の能力発揮のための基盤

第3節 防衛省改革

1 改革の背景・経緯

防衛省は、国民の信頼を確保し、与えられた任務を適切に遂行することができる組織としていくため、これまで不祥事案の再発防止や、人材を有効に活用して自衛隊をより積極的・効率的に機能させることができるようにするとの観点から、中央組織の改編を含む防衛省改革に取り組んできた。

防衛省・自衛隊の不祥事の頻発を受け、07(平成19)年に「防衛省改革会議」が官邸に設置され、08(同20)年に報告書がとりまとめられた。防衛省では、この報告書において示された基本的方向に従い、規則遵守の徹底や全体最適をめざした任務遂行優先型の業務運営の確立などに取り組むとともに、09(同21)年には防衛大臣を補佐する体制を強化し、文民統制の徹底を図るため、防衛会議の法律上の新設や、防衛参事官制度の廃止、防衛大臣補佐官(現在の防衛大臣政策参与)の新設などを行った。さらに、09(同21)年8月の平成22年度概算要求には、防衛省の中央組織における防衛力整備部門の内部部局への一元化や運用部門の統幕への一元化などを内容とする組織改編案を盛り込んだ。しかし、09(同21)年9月の民主党への政権交代により、防衛省改革については、民主党政権としての視点で検討を見直すこととされ、09(同21)年10月の平成22年度概算要求では、要求は見送られた。

その後、12(同24)年12月の自由民主党・公明党へのさらなる政権交代を受け、防衛省改革の検討を加速させるべく、13(同25)年2月、「防衛省改革に関する防衛大臣指示」を発出するとともに、防衛副大臣を委員長とする「防衛省改革検討委員会」(委員会)を設置した。委員会においては、不祥事再発防止の観点はもとより、わが国を取り巻く厳しい安全保障環境のもと、シビリアン・コントロールを貫徹しつつ、人材を有効に活用して自衛隊をより積極的・効率的に機能させることができるようにするとの観点から、防衛力のあり方などに関する検討とも連携しつつ必要な検討を実施することとされた。

また、中央組織における業務および編成のあり方については、東日本大震災、北朝鮮のミサイル発射などの近年の事案への対応の教訓事項なども踏まえ、国家安全保障会議の設置などの安全保障に関する官邸の司令塔機能強化の検討などとも連携しつつ、必要な検討を実施することとされた。