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第III部 わが国の防衛のための取組

9 その他諸国との防衛協力・交流

1 欧州諸国

欧州は、わが国と基本的な価値を共有し、また、テロ対策や海賊対処などの非伝統的安全保障分野や国際平和協力活動を中心に、グローバルな安全保障上の共通課題に取り組むための中核を担っている。そのため、欧州諸国と防衛協力・交流を進展させることは、わが国がこうした課題に積極的に関与する基盤を提供するものであり、わが国と欧州の双方にとって重要である。

13(平成25)年1月、防衛事務次官がスペインを訪問し、モレネス国防大臣を表敬するとともに、アルバル・ゴンサレス防衛政策担当次官と意見交換を行った。また、スウェーデンとの間では、同年12月20日に、防衛交流に関する覚書に署名した。同年4月、ラスムセンNATO事務総長が来日し、安倍内閣総理大臣との間で日NATO共同政治宣言を発出した。また、14(同26)年3月には、統幕長がベルギー、イタリア、EUおよびNATO本部を訪問し、双方の関心地域にかかる安全保障情勢および防衛協力・交流などについての意見交換を行った。同年5月には、小野寺防衛大臣がイタリアを訪問し、ピノッティ国防大臣と会談を行った。会談では、情報保護協定締結に向けた協力など、引き続き両国間の関係強化に向け協力を継続することで一致した。

さらに、同年4月から5月にかけて、安倍内閣総理大臣が、ドイツ、英国、ポルトガル、スペイン、フランスおよびベルギーを訪問し、各国およびEU、NATOの首脳と会談などを行った。NATO本部においてラスムセン事務総長と会談を行い、日NATO国別パートナーシップ協力計画に署名した。北大西洋理事会3では演説を行い、積極的平和主義に基づくわが国の安全保障政策について欧州から高い評価と支持を得るとともに、NATO加盟28か国の常駐代表との意見交換を行い、日欧の安全保障環境に関する共通認識を醸成した。さらに、海洋の自由の原則について改めて確認するとともに、ソマリア・アデン湾での海賊対処にかかるNATO・EUとの共同訓練や防衛装備・技術に関する英国・フランスとの協力などについて合意した。

欧州諸国との情報保護協定については、10(同22)年6月にNATO、11(同23)年10月にフランス、14(同26)年1月に英国と締結し、イタリアとは締結交渉を行っている。

2 その他諸国
(1)モンゴル

モンゴルとの間では、12(同24)年1月の「防衛協力・交流に関する覚書」の締結後、防衛次官級協議を同年11月に第1回、13(同25)年11月に第2回と実施し、能力構築支援をはじめとした防衛協力・交流について意見交換を行った。

14(同26)年4月には、バトエルデネ国防大臣が訪日するなどハイレベル交流も進んでいる。また、能力構築支援については、モンゴル軍高官を招へいし、13(同25)年11月に自衛隊中央病院における大量傷者受け入れ訓練研修などを行うとともに、14(同26)年3月に陸自施設学校で施設分野(道路構築)に関する教育訓練の研修を行った。

参照図表III-3-1-6(能力構築支援短期派遣事業の活動状況)

(2)トルコ

トルコとの間では、12(同24)年7月に、防衛事務次官がトルコを訪問し、ユルマズ国防大臣を表敬するとともに、ドゥンダル国防次官との会談を行った。会談では、防衛交流・協力の意図表明文書に署名した。13(同25)年3月には、ユルマズ国防大臣が訪日し、小野寺防衛大臣と日トルコ防衛相会談を行った。会談では、地域情勢について意見交換を行うとともに、防衛当局間協議(局長級)を早期に開催することや、各種の防衛交流を進めていくことについて合意した。

(3)カザフスタン

カザフスタンとの間では、12(同24)年7月に、防衛事務次官がカザフスタンを初めて訪問し、ジャクスイベコフ国防大臣を表敬するとともに、ジャスザコフ国防第一次官との会談を行った。会談では、両国の防衛分野における交流の発展の必要性で一致し、次官級をはじめとしたハイレベルの交流、防衛当局間協議をはじめとした実務者レベルの協議の開始、PKO・人道支援分野における協力、教育・研究機関間の交流を通じた協力を推進していくことで一致した。

(4)中東諸国

サウジアラビアとの間では、13(同25)年4月に、安倍内閣総理大臣がサウジアラビアを訪問し、サルマン皇太子と首脳会談を行い、安全保障分野での対話や防衛交流の促進、両国NSC間での対話を開始することで一致した。14(同26)年2月には、サウジアラビア・サルマン皇太子が来日し、同対話の実施や両国NSC間での対話の開始を含む様々なレベルでの協議と協力を継続し、二国間の包括的パートナーシップを強化することが改めて確認された。

サウジアラビア以外にも、13(同25)年5月および8月、安倍内閣総理大臣は、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェートおよびカタールを相次いで訪問し、安全保障・防衛分野での協力の促進の必要性について認識を共有した。

オマーンとの間では、14(同26)年1月、安倍内閣総理大臣がカブース国王と会談を実施し、海上航路の安全確保のための海賊対策などを含む海洋安全保障分野での協力強化や防衛交流の促進について合意した。また、同年2月には、海幕長がサウジアラビア、オマーン、アラブ首長国連邦を訪問した。

参照資料55(最近の欧州およびその他の諸国との防衛協力・交流の主要な実績(過去3年間))

河野海幕長の画像

サウジアラビア・サルマン皇太子より勲章を受章した河野海幕長

3 NATO加盟28か国の代表により構成される意思決定機関(議長:NATO事務総長)