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第III部 わが国の防衛のための取組

3 沖縄における在日米軍の駐留

14(平成26)年1月現在、在日米軍施設・区域(専用施設)の面積の約74%が沖縄県に集中し、県面積の約10%、沖縄本島の約18%を占めている。沖縄に在日米軍施設・区域が集中する現状は、沖縄県民にとって大変大きな負担となっているものと認識している。政府としては、このような負担を少しでも軽減するため、安全保障上の観点を踏まえた様々な施策を行い、最大限の努力をしている。

1 在日米軍施設・区域の整理・統合・縮小への取組

政府は、72(昭和47)年の沖縄県の復帰にともない、83施設、約278km2を在日米軍施設・区域(専用施設)として提供した。一方、沖縄県への在日米軍施設・区域の集中が、県民生活などに多大な影響を及ぼしているとして、その整理・統合・縮小が強く要望されてきた。

日米両国は、地元の要望の強い事案を中心に、整理・統合・縮小の努力を継続し、90(平成2)年には、いわゆる23事案について返還に向けた必要な調整・手続を進めることを合意した。直近では、14(同26)年6月30日、キャンプ・ハンセンの一部(東シナ海側斜面の一部)約162haのうち、約55haが返還された。また、95(同7)年には、那覇港湾施設の返還など、いわゆる沖縄3事案7についても解決に向けて努力することになった。

参照資料37(23事案の概要)

その後、95(同7)年に起きた不幸な事件や、これに続く沖縄県知事の駐留軍用地特措法に基づく署名・押印の拒否などを契機として、負担は国民全体で分かち合うべきであるとの考えのもと、整理・統合・縮小に向けて一層の努力を払うこととした。そして、沖縄県に所在する在日米軍施設・区域にかかわる諸課題を協議する目的で、国と沖縄県との間に「沖縄米軍基地問題協議会」を、また、日米間に「沖縄に関する特別行動委員会」(SACO:Special Action Committee on Okinawa)を設置し、96(同8)年、いわゆるSACO最終報告が取りまとめられた。

2 SACO最終報告と進捗状況

SACO最終報告の内容は、土地の返還、訓練や運用の方法の調整、騒音軽減、地位協定の運用改善であり、関連施設・区域が示された。SACO最終報告が実施されることにより返還される土地は、当時の沖縄県に所在する在日米軍施設・区域の面積の約21%(約50km2)に相当し、復帰時からSACO最終報告までの間の返還面積約43km2を上回るものとなる。

参照図表III-2-3-3(SACO最終報告関連施設・区域)、図表III-2-3-4(沖縄在日米軍施設・区域(専用施設)の件数および面積の推移)、資料38(SACO最終報告(仮訳))資料39(SACO最終報告の主な進捗状況)

図表III-2-3-3 SACO最終報告関連施設・区域

図表III-2-3-4 ‌沖縄在日米軍施設・区域(専用施設)の件数および面積の推移

3 沖縄における米軍再編の経緯と進捗状況

ロードマップ上の米軍再編に関する取組においても、沖縄県における地元負担の軽減のための施策が講じられることとなった。

(1)普天間飛行場代替施設など

米海兵隊普天間飛行場は、沖縄における米海兵隊(在沖米海兵隊)の航空能力に関し、次の機能を果たしている。

○ ヘリなどによる海兵隊の陸上部隊の輸送機能

○ 空中給油機を運用する機能

○ 緊急時に航空機を受け入れる基地機能

一方で、同飛行場は市街地の中心にあり、地域の安全、騒音、交通などの問題から地元住民より早期の返還が強く要望され、次の措置を講ずることにより同飛行場を返還する方向で調整している。

ア ヘリなどによる海兵隊の陸上部隊の輸送機能

(ア)普天間飛行場代替施設(代替施設)を沖縄県内に設ける必要性

在沖米海兵隊は、航空、陸上、後方支援の部隊や司令部機能から構成されている。海兵隊の運用では、これらの機能が相互に連携し合うことが必要であり、普天間飛行場に駐留する回転翼機が、訓練、演習など日常的に活動をともにする組織の近くに位置するよう、代替施設も沖縄県内に設ける必要があるとしている。

(イ)代替施設に関する経緯

04(同16)年8月の宜野湾(ぎのわん)市における米軍ヘリ墜落事故の発生を踏まえ、周辺住民の不安を解消するため、一日も早い移設・返還を実現するための方法について、在日米軍再編に関する日米協議の過程で改めて検討が行われた。

05(同17)年10月の「共同文書」においては、「キャンプ・シュワブの海岸線の区域とこれに近接する大浦湾の水域を結ぶL字型に普天間代替施設を設置する。」との案が承認された。その後、名護市をはじめとする地元地方公共団体との協議および合意を踏まえて、ロードマップにおいて、代替施設を「辺野古崎とこれに隣接する大浦湾と辺野古湾の水域を結ぶ」形で設置することとされ、この代替施設の建設について、06(同18)年5月、沖縄県知事と防衛庁長官(当時)との間で「基本確認書」が取り交わされた。

09(同21)年9月の政権交代後、沖縄基地問題検討委員会が設けられ、同委員会による検討を経て、10(同22)年5月、「2+2」会合において、普天間飛行場の代替の施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区およびこれに隣接する水域に設置する意図を確認するとともに、様々な沖縄の負担軽減策について今後具体的な措置をとっていくことで米国と合意した。

その後、11(同23)年6月、「2+2」会合において、滑走路の形状をV字と決定し、普天間飛行場の固定化を避け危険性を一刻も早く除外するため、14(同26)年より後のできる限り早い時期に完了させることを確認した。

このような結論に至る検討過程では、まず、東アジアの安全保障環境に不安定性・不確実性が残る中、海兵隊を含む在日米軍の抑止力を低下させることは、安全保障上の観点からできないとの判断があり、また、普天間飛行場に所属する海兵隊ヘリ部隊を沖縄所在の他の海兵隊部隊から切り離し、国外・県外に移設すれば、海兵隊の持つ機能を損なう懸念があることから、普天間飛行場の代替地は沖縄県内とせざるを得ないとの結論に至ったものである。

また、日米両政府は、12(同24)年4月に続く13(同25)年10月の「2+2」会合においても、普天間飛行場の代替施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区およびこれに隣接する水域に建設することが、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であることを確認した。

参照図表III-2-3-5(普天間飛行場代替施設に関する経緯)、資料34(「2+2」共同発表(仮訳)(平成24年4月27日))資料35(「2+2」共同発表(仮訳)(平成25年10月3日))資料40(嘉手納以南 施設・区域の返還時期(見込み))

図表III-2-3-5 普天間飛行場代替施設に関する経緯

(ウ)環境影響評価

環境影響評価については、07(同19)年8月に沖縄県知事などに環境影響評価方法書を送付して以来、関係法令などに従い手続を進めた。環境影響評価書については、12(同24)年2月および3月に沖縄県知事より意見が述べられたことを受け、防衛省で有識者研究会を開催して、部外有識者の科学的・専門的観点からの助言を踏まえ、補正作業を行った。その後、同年12月18日に補正後の評価書を沖縄県知事などに送付し、同年12月27日から13(同25)年1月29日までの間、評価書の縦覧(じゅうらん)(一般に閲覧できるようにすること)を行い、環境影響評価の手続を終了した。

(エ)代替施設建設事業など

普天間飛行場代替施設建設事業については、13(同25)年3月22日、公有水面埋立承認願書を沖縄県知事に提出し、同年12月27日、同願書が沖縄県知事によって承認されるなど、普天間飛行場の移設・返還に向けて事業を着実に進めているところである。

普天間飛行場は、沖縄県宜野湾市の中心部に位置し、周囲には住宅や学校などが密接しており、同飛行場の固定化は絶対に避けなければならない。政府としては、沖縄県知事による公有水面埋立の承認を重く受け止め、速やかに事業に着手するとともに、一日も早い普天間飛行場の返還を実現できるよう引き続き全力で努力していく。

イ 空中給油機を運用する機能

普天間飛行場に所在する空中給油機KC-130は、14(同26)年7月上旬から8月下旬までの間に岩国飛行場(山口県)に移駐することとなっている。

KC-130は、訓練および運用のため定期的にローテーションで海自鹿屋基地(鹿児島県)とグアムに展開することとなっており、海自鹿屋基地での訓練と運用について日米間で協議中である。

ウ 緊急時に航空機を受け入れる基地機能

緊急時における空自新田原基地(宮崎県)と空自築城基地(福岡県)の米軍による使用が強化される。このための施設整備は、実地調査の後、普天間飛行場の返還の前に必要に応じて実施される。また、役割・任務・能力に関する検討において日米の共同訓練を拡大するとしているが、整備後の施設は、このような訓練活動のためにも活用されることを想定している。

さらに、緊急時における米軍による民間施設の使用の改善について、日米間の計画検討作業において検討されるとともに、普天間飛行場の返還を実現するための適切な措置がとられるとしている。

(2)兵力の削減とグアムへの移転

11(同23)年6月の「2+2」会合などで、沖縄に所在する第3海兵機動展開部隊(IIIMEF)の要員約8,000人とその家族約9,000人が14(同26)年より後のできる限り早い時期に沖縄からグアムに移転することとされた。

移転費用については、施設およびインフラの整備費算定額102.7億ドル(2008米会計年度ドル)のうち、日本が28億ドルの直接的な財政支援を含め60.9億ドルを提供し、米国が残りの41.8億ドルを負担することで合意に至った。わが国が負担する費用のうち、わが国の直接的な財政支援として措置する事業(「真水」事業)8については、わが国による多年度にわたる資金提供をはじめとする日米双方の行動をより確実なものとし、これを法的に確保するため、日本政府は、09(同21)年2月に米国政府と「第3海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」(グアム協定)に署名した。本協定に基づく措置として、平成21年度から、「真水」事業にかかる米国政府への資金移転を行っている9

その後、12(同24)年4月の「2+2」共同発表におけるグアムに移転する部隊構成および人数についての見直しにより、海兵空地任務部隊(MAGTF)をグアムに置くこととされ、約9,000人の海兵隊の要員が沖縄から日本国外に移転し、グアムにおける海兵隊の兵力の定員は約5,000人になる一方で、沖縄における海兵隊の最終的なプレゼンスは、ロードマップの水準に従ったものとすることとされた。

この共同発表において、移転にかかる米国政府による暫定的な費用見積りは86億ドル(2012米会計年度ドル)であるとされた。日本の財政的コミットメントについては、グアム協定の第1条に規定された28億ドル(2008米会計年度ドル)の額を限度とする直接的な資金提供となることが再確認されたほか、日本による家族住宅事業やインフラ事業のための出融資などは利用しないことが確認された。また、グアム協定のもとですでに米国政府に移転された資金は日本による資金の提供の一部となることとされた。さらに、両政府はグアムおよび北マリアナ諸島連邦における日米両国が共同使用する訓練場の整備についても、前述の28億ドルの直接的な資金提供の一部を活用して実施することとされた。このほか、残りの費用および追加的な費用は米国が負担することや、両政府が二国間で費用内訳を完成させることについても合意された。

13(同25)年10月の「2+2」会合では、米海兵隊の要員の移転が、沖縄への影響を軽減しつつ、米軍の前方プレゼンスを維持することに寄与し、グアムの戦略的な拠点としての発展を促進することが確認され、またその際、移転に関するこれらの目標を達成するために必要な二国間協力の基礎となるグアム協定を改正する議定書の署名も行われた。本改正は、12(同24)年の「2+2」共同発表を受けて行われるものであり、米海兵隊部隊の沖縄からグアムへの移転を普天間飛行場代替施設に関する進展から切り離すことを確認するとともに、グアムおよび北マリアナ諸島連邦における訓練場の整備および自衛隊による訓練場の使用に関する規定の追加などが盛り込まれている。また、わが国政府からの資金提供については、引き続き28億ドル(2008年度価格)が上限となることに変更はない。

米海兵隊部隊の沖縄からグアムへの移転については、13(同25)年10月の「2+2」共同発表において、12(同24)年の「2+2」共同発表において示された移転計画のもとで、20(同32)年代前半に開始されることとされ、同計画は13(同25)年4月の嘉手納飛行場以南の土地の返還に関する統合計画の実施の進展を促進するものとされた。

参照資料41(第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定)資料42(同協定を改正する議定書)

(3)嘉手納飛行場以南の土地の返還

12(同24)年4月の「2+2」共同発表において、第3海兵機動展開部隊(IIIMEF)の要員の沖縄からグアムへの移転およびその結果として生ずる嘉手納以南の土地の返還の双方を、普天間飛行場の代替施設に関する進展から切り離すことを決定した。さらに、返還される土地については、①速やかに返還できるもの、②機能の移転が完了すれば返還できるもの、③国外移転後に返還できるもの、という3段階に分けて検討していくことで合意した。

12(同24)年末の政権交代後、沖縄の負担軽減に全力で取り組むとの安倍政権の基本方針のもと、引き続き日米間で協議が行われ、沖縄の返還要望が特に強い牧港補給地区(キャンプ・キンザー)を含む嘉手納以南の土地の返還を早期に進めるよう強く要請し、米側と調整を行った結果、13(同25)年4月に、具体的な返還年度を含む返還スケジュールが明記される形で統合計画が公表されることになった。

統合計画においては、本計画を可能な限り早急に実施することを日米間で確認しており、政府として一日も早い嘉手納以南の土地の返還が実現するよう、引き続き全力で取り組んでいく。また、統合計画の発表を受け、キャンプ瑞慶覧西普天間住宅地区の有効かつ適切な利用の推進に資するため、同年4月以降、宜野湾市、宜野湾市軍用地等地主会、沖縄県、沖縄防衛局および沖縄総合事務局による協議会10が開催されており、防衛省としても必要な協力を行っている。14(同26)年6月24日には、西普天間住宅地区の共同使用について日米合同委員会で合意し、同年8月15日以降、掘削をともなう埋蔵文化財調査および支障除去措置にかかる調査などのための返還前の立入りが可能となった。

13(同25)年4月の統合計画の公表以降、「必要な手続の完了後速やかに返還可能となる区域」(図表III-2-3-6の赤色の区域)を中心に早期返還に向けて取り組んできた結果、同年8月に完了した牧港補給地区の北側進入路の土地の返還をはじめ、これまでに該当する四つの事案全てについて返還に向けた道筋がつき、同年10月の「2+2」共同発表でも確認されているとおり、予定よりも早く進んでいる。14(同26)年4月14日には、キャンプ瑞慶覧の白比川地区からキャンプ・ハンセンへの施設の移設について、移設先である金武町から受け入れの理解を得たところである。

また、残りの区域についても、米側のマスタープランが速やかに作成されるよう、あらゆる機会を通じて米国との協議を進めるとともに、作成を支援することとしている。これまでに、牧港補給地区などに所在する陸軍倉庫の移設先であるトリイ通信施設マスタープランを日米合同委員会で合意した。引き続き統合計画を着実に実施し、沖縄の負担軽減を早期に進めるとともに、具体的に目に見えるものとするため、それぞれの土地の返還が可能な限り短期間で実現できるよう、全力での取組が行われている。

参照図表III-2-3-6(嘉手納飛行場以南の土地の返還)、資料40(嘉手納以南 施設・区域の返還時期(見込み))

図表III-2-3-6 嘉手納飛行場以南の土地の返還

4 MV-22オスプレイの沖縄配備
(1)MV-22オスプレイの沖縄配備

MV-22オスプレイは、回転翼機の垂直離着陸やホバリングの機能と、固定翼機の速度および航続距離を持ち合わせた航空機であり、海兵隊の航空部隊の主力として、様々な作戦において、人員・物資輸送をはじめとした幅広い活動に従事し、重要な役割を果たしている。

米海兵隊においては、老朽化した CH-46回転翼機を、より基本性能の高いMV-22へと更新する計画が進められ、11(同23)年6月、普天間飛行場に配備されているCH-46のMV-22への更新が米国防省より公表された。その後、12(同24)年6月29日には米国政府から普天間飛行場の1個飛行隊12機のCH-46を同数のMV-22に更新し、さらに13(同25)年夏に2個目の飛行隊のCH-46を同数のMV-22に更新する旨の接受国通報が行われた。これを受け、防衛省は、大臣などが、沖縄県や岩国市に対して安全確保のための措置に関する説明を行った後、12(同24)年10月に1個目の飛行隊の普天間飛行場への移動が、13(同25)年9月には、2個目の飛行隊の普天間飛行場への移動が、それぞれ完了した。

MV-22はCH-46に比べて、速度は2倍、搭載能力は3倍、行動半径は4倍という優れた性能を有しており、同機の沖縄配備により、在日米軍全体の抑止力が強化され、この地域の平和と安定に大きく寄与する。

(2)MV-22オスプレイの安全性

12(同24)年4月にモロッコにおいてMV-22オスプレイの事故が、同年6月に米国のフロリダにおいてCV-2211の事故が発生し、国民の間に懸念が広がったことから、日米両政府は、事故の調査結果が提供され、飛行運用の安全性が再確認されるまで、日本においていかなる飛行運用も行わないこととした。また、安全性の再確認のため、米側の事故調査結果などについて、わが国独自の視点と知見で、その内容が妥当であるかなどについて客観的に評価する分析評価チームを設置し、調査結果の検証を行った。この結果、モロッコにおけるMV-22およびフロリダにおけるCV-22墜落事故は人的要因によるところが大きく、機体自体の安全性に問題がないことが確認された。

さらに、MV-22の飛行運用にあたっても、その安全性を最大限に確保するため、日米合同委員会などにおいて、事故の再発防止策や運用に関する事項について米側と議論した。これにより、事故の教訓をふまえた人的要因を改善するための措置がとられていることを確認するとともに、MV-22の日本における運用に関して安全を確保するための具体的措置がとられることが日米合同委員会において合意された。

以上の結果を踏まえ、MV-22の日本における運用について、安全性は十分に確認されたものと考え、同年日本政府は、9月19日に「MV-22オスプレイの沖縄配備について」を公表し、わが国におけるMV-22の飛行運用が開始された。政府としては、米国がMV-22に関する日米合同委員会における合意を遵守し、安全性などに最大限配慮してMV-22を運用してきていると認識しているが、MV-22の飛行運用の実施にあたり、引き続き、地元住民に十分な配慮がなされ、日米合同委員会における合意が適切に実施されるよう、日米防衛相会談をはじめ様々な機会を通じ米側への働きかけを継続的に行っている。

参照図表III-2-3-7(MV-22オスプレイ沖縄配備の経緯)

図表III-2-3-7 MV-22オスプレイ沖縄配備の経緯

(3)災害発生時などにおけるMV-22オスプレイの有用性

13(同25)年11月にフィリピン中部で発生した台風被害に対する救援作戦「ダマヤン」を支援するため、沖縄に配備されている14機のMV-22オスプレイが人道支援・災害救援活動に投入された。固定翼機の速度と航続距離に加え、回転翼機の垂直離着陸機能をあわせ持つMV-22は、アクセスの厳しい被災地などに迅速に展開し、1日で数百名の孤立被災民と約6トンの救援物資の輸送を可能にするなど、他の航空機にはない能力を提供した。また、14(同26)年4月に韓国の珍島(ちんど)沖で発生した旅客船沈没事故に際しても、沖縄に配備されているMV-22が捜索活動に投入された。

このように、今後もMV-22は、様々な作戦においてその優れた能力を発揮していくことが期待されている。

5 沖縄の負担軽減に向けた取組

沖縄は、米国の占領下に置かれたことや、占領終了後も他の地域に比べて在日米軍施設・区域の返還が進まなかった経緯・事情から、多くの在日米軍施設・区域が今なお存在している。政府は、沖縄に集中した負担の軽減を図るべく、これまでSACO最終報告や、ロードマップの実現などに向けて取り組むとともに、防衛省としても、沖縄政策協議会および同協議会のもとに設置された小委員会12などを通じて、地元の意見などを聞きながら、沖縄の一層の負担軽減に向け全力をあげて取り組んできた。

こうした中、13(同25)年12月17日の沖縄政策協議会において、沖縄県知事から、普天間飛行場の5年以内の運用停止・早期返還、MV-22オスプレイの12機程度の県外の拠点への配備および牧港補給地区の7年以内の全面返還などの要望がなされた。

政府としては、この要望を沖縄県民全体の思いとしてしっかりと受け止め、内閣官房長官、沖縄担当大臣、外務大臣、防衛大臣、沖縄県知事および宜野湾市長で構成される「普天間飛行場負担軽減推進会議」を設置するなど、沖縄の負担軽減に一丸となって取り組んでいる。

普天間飛行場負担軽減推進会議の画像

普天間飛行場負担軽減推進会議の様子【内閣広報室】

防衛省としても、14(同26)年1月22日、副大臣を長とする「沖縄基地負担軽減推進委員会」を設置し、沖縄の負担軽減のためにできることは全て行うという強い決意のもとに取り組んでいる。

同委員会のもとに設置した「普天間飛行場負担軽減推進チーム」においては、MV-22の訓練などの約半分を県外で行うことができるよう、13(同25)年10月に滋賀県に所在する饗庭野(あいばの)演習場において行われた日米共同訓練のような、MV-22を使用した訓練を引き続き検討するとともに、複数の本土に所在する演習場や飛行場における訓練を促進するため、平成26年度予算に自衛隊のティルト・ローター機の導入検討と合わせて、必要な調査費を予算化するとともに、格納庫や給油施設といった「訓練基盤・拠点」を整備することとしている。

また、同委員会のもとに設置した「牧港補給地区返還推進チーム」では、同地区の返還にかかる米軍のマスタープランの作成の促進などの検討を進めているところであり、一つの方策として、マスタープランの作成の支援業務を行うこととしている。

参照IV部2章2節2(在日米軍の駐留にかかる地元負担軽減に向けた取組)

日米共同訓練の画像

饗庭野(あいばの)演習場における日米共同訓練(フォレスト・ライト)を視察する武田防衛副大臣(中央)

7 那覇港湾施設の返還、読谷補助飛行場の返還、県道104号線越え実弾射撃訓練の移転

8 わが国の「真水」事業について、工事事業、設計事業経費として、平成21年度予算に約346億円、平成22年度予算に約468億円、平成23年度予算に約149億円、設計事業経費として平成24年度に約7億円、平成25年度に約2億円を計上し予算措置された。

9 平成21年度予算約346億円、平成22年度予算約468億円、平成23年度予算約93億円を米側に資金移転した。

10 同協議会にはオブザーバーとして、防衛省のほか外務省(沖縄事務所)、内閣府も参加している。

11 MV-22型は海兵隊仕様で、強襲揚陸や輸送などを目的としており、CV-22型は空軍仕様で、特殊作戦などを目的としている。

12 13(平成25)年3月19日、沖縄政策協議会において、米軍基地負担の軽減および沖縄振興策に関する諸問題への対応を目的として同協議会のもとに「小委員会」を設置