インドとパキスタンは、カシミールの帰属をめぐり主張が対立しており5、過去に三度の大規模な武力紛争が発生した。カシミール地方では管理ラインを挟んで衝突がたびたび発生し、両国は対話の再開と中断を繰り返してきたが、2021年2月に停戦を遵守することで合意した。2023年12月のインド国防省発表では、この合意により、状況は大幅に改善されたとしていた。2025年4月、カシミールのインド支配地域のパハルガム近郊で、武装集団が観光客らに発砲し、少なくとも26人が死亡するテロ事案が発生した。インド軍は同年5月、パキスタン領およびカシミールのパキスタン支配地域のテロリスト拠点9か所へ越境攻撃を実施し、パキスタン軍も応酬するなどの事案が発生した。同月、両国は軍事行動の停止に合意したことが発表された。
参照図表I-3-8-1(インド・パキスタンの兵力状況(概数))