東南アジア諸国連合(ASEAN)は、地域の多国間安全保障の枠組みとして安全保障問題に関する対話の場であるASEAN地域フォーラム(ARF)やASEAN国防相会議(ADMM)を開催するなど、地域の安全保障環境の向上や信頼醸成に努めてきた。
2023年9月には、初となるASEAN単体での海上軍事演習が北ナツナ海を含むインドネシア周辺海域で行われた。
一方、ASEANは域外国との関係も重視し、ADMMにわが国を含む域外8か国を加えた拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)を開催している。加えて、米国、中国、ロシア、インドなどの大国と海上共同演習を実施している。
2024年11月、2019年以来の第2回目開催となる米ASEAN海上共同演習を2025年に実施することを発表している。
また、ASEANと中国の間では、長年にわたり「南シナ海行動規範(COC:Code of Conduct of Parties in the South China Sea)」の策定に向けた協議を続けており、2019年7月、中国は、中国・ASEAN外相会議において、COCの「単一の交渉草案」の一読が完了したことを発表した。その後、第二読の開始がなされ、2021年8月のASEAN外相会議においては、序文の暫定合意に達したことが言及された。同年11月の中ASEAN首脳会議の共同声明では、実効的で実質的なCOCの早期締結への期待に言及がなされたほか、2023年7月の中ASEAN外相会議では「実効的かつ実質的なCOCの早期妥結を加速させるためのガイドライン」が採択された。また、2023年10月には、第三読が開始され、2025年1月のASEAN外相リトリートの議長声明において、第三読が完了したことが表明された。