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第III部 国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組

2 訓練を通じた海洋における公共の安全と秩序の維持への貢献

1 アデン湾における自衛隊と各国などの海賊対処部隊の訓練

14(平成26)年5月の安倍内閣総理大臣とラスムセンNATO事務総長との会談における合意に基づき、派遣部隊及びNATOの海賊対処部隊は連携の強化及び海賊対処にかかる戦術技量の向上を図ることを目的とし、アデン湾において同年9月と11月に共同訓練を実施した6。また、同年10月以降、他国軍の海賊対処部隊などとも共同訓練を実施している6

アデン湾において実施されるこうした訓練は、自衛隊と各国等の海賊対処部隊の連携を強化し、海上における公共の安全と秩序の維持に資するものであり、大変重要な意義がある。

2 米国主催国際掃海訓練への参加

海自は、アラビア半島周辺海域において米海軍が主催する多国間掃海訓練に12(同24)年の初回から毎回参加しており、16(同28)年(第4回国際掃海訓練)も参加した7。本訓練への参加は、海自の戦術技量の向上や参加国間の信頼関係の強化に資するものであると同時に、海洋安全保障の維持にも寄与するものであり、グローバルな安全保障環境の改善に資する側面もある。

参照資料54(多国間共同訓練の参加など(最近3年間))

3 共同訓練などを通じた海洋安全保障分野における協力関係の強化

15(同27)年10月、海自は、インド東方海域において、戦術技量の向上及び海洋安全保障分野における協力関係の強化などを目的とした米印主催海上共同訓練(マラバール2015)に参加8し、同年5月にはフィリピン海軍と、同年8月にはマレーシア海軍と「CUES(洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準)」9を用いた通信訓練、戦術運動などを実施した。これらの共同訓練を通じた参加国との連携の強化は、海洋安全保障の維持に寄与するものであり、大変意義がある。

6 これまでに、EU海上部隊とは、14(平成26)年10月に第1回、同年11月に第2回及び第3回、15(同27)年3月に第4回、16(同28)年1月に第5回の訓練を実施している。また、14(同26)年11月及び15(同27)年12月にはトルコ海軍と、15(同27)年3月及び16(同28)年2月にはパキスタン海軍と、15(同27)年12月には韓国海軍と共同訓練を実施している。

7 16(平成28)年4月に開催され、掃海母艦「うらが」及び掃海艇「たかしま」が、掃海訓練及び潜水訓練などを実施した。

8 海自の護衛艦「ふゆづき」、米海軍の空母「セオドア・ルーズベルト」など、印海軍のミサイルフリゲート「シュヴァリク」などが参加し、今後も本訓練には継続して参加する。

9 「CUES」については、III部1章2節5項 脚注22参照。