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第III部 国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組

9 在外邦人等の輸送への対応

防衛大臣は、外国での災害、騒乱、その他の緊急事態に際し、外務大臣から邦人などの輸送の依頼があった場合、外務大臣と協議をしたうえで、自衛隊法第84条の4(在外邦人等の輸送)に基づき、当該在外邦人等の輸送を行うことができる。その際、自衛隊は、派遣先国において輸送の対象となる在外邦人等を、航空機・艦艇・車両により本邦などの安全な地域に輸送する。このため、陸自ではヘリコプター隊と誘導輸送隊の要員を、海自では輸送艦などの艦艇(搭載航空機を含む)を、空自では輸送機部隊と派遣要員をそれぞれ指定するなど、待機態勢を維持している。

在外邦人等の輸送は、陸・海・空自の緊密な連携が必要となることから、平素から統合訓練などを行っている。また、毎年タイで行われている多国間共同訓練(コブラ・ゴールド)においては、15(平成27)年2月に、在外邦人等の輸送訓練で、外務本省や在タイ日本国大使館などの協力を得て、同大使館職員、その家族らとともに参加し、初めての海外における陸上輸送訓練を実施したほか、16(同28)年2月には、初めて護衛艦(艦載航空機1機含む)を同訓練に参加させるとともに、車両による陸上輸送の訓練に自衛隊の車両(高機動車1両)を持ち込んで使用した。

コブラ・ゴールドにおける在外邦人等輸送訓練の画像

コブラ・ゴールドにおける在外邦人等輸送訓練

16(同28)年7月のバングラデシュにおけるダッカ襲撃テロ事件において、被害邦人等の輸送のため、自衛隊法第84条の4(在外邦人等の輸送)に基づき、空自特別航空輸送隊(千歳基地所属)の政府専用機をバングラデシュ・ダッカに派遣し、被害邦人の御遺体(7人)と御家族を本邦に輸送した。また、同年7月の南スーダンにおける情勢の悪化に際しては、空自輸送機(C-130H)を派遣し、大使館職員をジュバからジブチまで輸送した。

なお、外国における緊急事態に際しての在外邦人等の保護については、15(同27)年9月に成立した平和安全法制において、在外邦人等の保護措置に関する規定が新設された。

参照資料24(自衛隊の主な行動)資料25(自衛官又は自衛隊の部隊に認められた武力行使及び武器使用に関する規定)II部3章2節1項(平和安全法制整備法の概要)