Contents

第II部 わが国の安全保障・防衛政策と日米同盟

3 女性職員の活躍推進

1 女性職員の採用・登用の拡大

防衛省・自衛隊は、女性職員の活躍の推進に積極的に取り組んでおり、その数も近年増加傾向にある。女性職員の採用・登用のさらなる拡大と、職員の仕事と生活の調和(ワークライフバランス)を一体的に推進するため、「働き方改革」、「育児・介護等と両立して活躍できるための改革」及び「女性職員の活躍推進のための改革」の3つの改革を盛り込んだ「防衛省における女性職員活躍とワークライフバランス推進のための取組計画」(15(平成27)年1月)及び「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく防衛省特定事業主行動計画(平成28年度~平成32年度)」(16(同28)年4月)を策定し、女性職員の採用・登用について具体的な目標を定めるなど、意欲と能力のある女性職員の活躍を推進するための様々な取組みを行っている。

(1)女性事務官、技官、教官など

女性事務官、技官、教官などは、16(同28)年3月末現在、約3,200人(全事務官などの約23.4%)であり、10年前(06(同18)年3月末時点で全事務官などの約23.1%)と比較すると、0.3ポイント増となっており、その比率は近年増加傾向にある。

採用については、16(同28)年度以降、政府目標と同様に、採用者に占める女性の割合を30%以上としている。また、登用については、20(同32)年度末までに、地方機関課長・本省課長補佐相当職に占める女性の割合を5%程度、本省課室長相当職に占める女性の割合を2%程度、本省係長相当職に占める女性の割合を20%程度とすることを目標としている。

(2)女性自衛官

女性自衛官は、16(同28)年3月末現在、約1.3万人(全自衛官の約5.9%)であり、10年前(06(同18)年3月末時点で全自衛官の約4.8%)と比較すると、1.1ポイント増となっており、その比率は近年増加傾向にある。

女性自衛官の採用については、30(同42)年までに全自衛官に占める女性の割合を9%以上とすることを目標に、17(同29)年度以降の採用者に占める女性の割合を10%以上とすることとしている。また、登用については、佐官以上に占める女性の割合を現状の3.1%より増やし、将来佐官以上へ成長することが期待される人材については、尉官の時期に部隊勤務の指揮官職又は指揮官補佐職へ補職することを重視して経験を積ませ、育成を図ることとしている。

なお、自衛隊では全ての職域が女性自衛官に開放されているものの、母性の保護、男女間のプライバシー確保などを総合的に勘案し、普通科中隊や潜水艦など、一部の配置に制限がある。近年の自衛隊の任務の多様化などに的確に対応していくため、一層効果的な人材活用を図る観点から、15(同27)年度には、陸自の対戦車ヘリコプター隊飛行班及び特殊武器(化学)防護隊の一部、海自のミサイル艇、掃海艦(艇)及び特別警備隊、空自の戦闘機及び偵察機への配置制限が解除された。これにより、海自においては潜水艦以外の全てのポストに、空自においては全てのポストに女性自衛官が就くことが可能となった。また、全てのパイロットの配置に女性自衛官が就くことも可能となった。

参照図表II-2-5-5(女性自衛官の在職者推移)

図表II-2-5-5 女性自衛官の在職者推移

災害派遣に従事する大崎2佐の画像

災害派遣に従事する大崎2佐

女性初の護衛艦艦長となった大谷2佐の画像

女性初の護衛艦艦長となった大谷2佐

C-1操縦士として活躍する逢坂3佐の画像

C-1操縦士として活躍する逢坂3佐

2 全ての職員の働きやすい環境の整備

防衛省・自衛隊では、「女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会(議長:内閣人事局長)」において決定された「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」を踏まえて、「防衛省における女性職員活躍とワークライフバランス推進のための取組計画」(15(同27)年1月)、次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)に基づく「防衛省特定事業主行動計画(平成27年度~平成32年度)」(同年3月)及び「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく防衛省特定事業主行動計画(平成28年度~平成32年度)」(16(同28)年4月)を策定し、男女ともに育児や介護などで時間的制約のある職員が活躍できる職場とするため、啓発講演会の実施など、仕事と家庭の両立を支援する制度の利用促進を図るとともに、ワークライフバランスを推進するため、フレックスタイム制の拡充やキャラクターを利用した情報共有、周知活動などにより、職員の意識改革や業務の効率化・簡素化に取り組んでいる。

ワークライフバランスを推進するWLB通信局の画像

ワークライフバランスを推進するWLB通信局

また、子育て中の隊員が安心して職務に従事できるよう、自衛隊の特殊な勤務態勢に対応できる庁内託児施設の整備を進めている。16(同28)年4月の空自入間基地への開設を含め、これまで6か所(陸自三宿駐屯地、陸自熊本駐屯地、陸自真駒内駐屯地、陸自朝霞宿舎地区、海自横須賀地区、空自入間基地)に庁内託児施設を開設しており、今後、さらに3か所(市ヶ谷地区、空自府中基地、空自浜松基地)に開設することを予定している。また、災害派遣などの緊急登庁時における子供の一時預かりについても、引き続き所要の態勢整備を行っている。

庁内託児施設「キッズガーデン朝霞」(陸自朝霞宿舎地区)の画像

庁内託児施設「キッズガーデン朝霞」(陸自朝霞宿舎地区)